2015年07月17日
3段階__法
人類初の月面着陸を目指すアポロ11号はアメリカ東部時間の午前9時32分、(全備重量28000tあまりの)サターンⅤ型ロケットの一段目に装備された五基のエンジンに点火してゆっくりと発射台を離れ、まずは地球周回軌道に向けての上昇を開始します。一段目ロケットには航空燃料と酸化剤の液体酸素が満載されています.お昼のヘッドラインニュースと同じくらいの160秒だけ燃焼するとその仕事は終了です。すぐさま二段目ロケットに点火。一段目は切り離されてゆきます。
一段目エンジンの巨大な噴射ノズル、司令船カプセルがすっぽり収まってしまいそうな大きさです
スペースシャトルがお腹に抱えていたタンクは液体酸素と液体水素、体積対効果はこちらのほうが優れていますが、この時代、一段目はまだ航空燃料(ケロシン←灯油)でした。全長363ft(110m)の巨大なロケットは下から順に一段目エンジン(五基)航空燃料、液体酸素、二段目エンジン、液体酸素、液体水素、三段目エンジン、液体酸素、液体水素、(月着陸船)格納庫司令船(機械船+帰還船)そして緊急脱出用ロケットで構成され、六本木ヒルズ森タワーと並べると、33階の窓から眼下に司令船を覗き込めるくらいの巨大さです。
二段目ロケットも6分半の燃焼後は3段目にバトンタッチ、146秒後には地球周回軌道に到達します。そして3段目ロケットはいくつかの重要な役割を果たします。月への軌道に向けたスタートダッシュ、だけでなく月着陸船の格納庫の役割も持っています。
月への遥かな道中、司令船はいったん3段目を切り離して180度方向転換。今度はアタマから3段目に近づき、先端に収まった月着陸船とドッキングします。大井川鉄道で、金谷駅に帰ってくるSLの様に月着陸船を引っ張り出して(車庫入れと逆の動きです)きたあとは、3段目ロケットともお別れ。このスタイルが後のアポロ13号では3人の命を救う救命ボート役を果たすことになるのですが・・・・・・