2015年06月05日
アタマの中で起きていること・2
2009年に公開された南アフリカの映画『第9地区』のニール・ブロムカンプ監督による最新作「チャッピー」はこれまた人間の形をしたロボットを描いています。第9地区では伊勢海老みたいだった宇宙人も、より人間に近いフォルムにデザインされており、ストーリーもロボット型景観を大量導入した南アフリカが舞台です。冒頭いきなり、CNNの人気キャスター"アンダーソンクーパー360”の番組でA.C本人が登場するかと思えばシガニーウィーバーの社長にヒュージャックマンの開発エンジニアというふうに俳優のキャスティングもグレードアップしました。
で、見かけ上は生身の人間とロボットたちの銃撃戦シーンがメイン、第九地区とは一見良く似た映画のように見えますが、そのロボットたちの行動をつかさどるプログラムの違いが今回の大きな主題です。
コンピュータープログラムもアンドロイドも進化した末には人間に取って代わりうる存在になるのか?そうなったら人間はどうやってコンピューターとかアンドロイドと対峙しなければなるのか・・・・とっても興味をそそられるテーマです。
映画ではロボットが自律的に言葉を学習しさまざまな経験が人格形成につながってゆくプロセスを子供の成長になぞらえて、コミカルに皮肉たっぷりに描いてゆきます。好き、嫌いの嗜好も憎い、悔しいといった感情の起伏もどんどん会得してゆきますが、チタン製の防弾ボディで武装したこのロボットが悪の手に落ちたなら・・・・架空の物語はどんどん予測できない方向に向かってゆきます。
それにしても人間の成長過程では言葉をはじめ様々な規則性を記憶・成長してゆきますが学習能力をプログラムとして数式やコマンド類に定義できたら本当に感情豊かなロボットが誕生するでしょうか?そして好き嫌いの積み重ねが人を愛するというロジックに結びつくのか?この映画の中では恋愛感情にまでは踏み込んでいませんが、AI=人工知能が大切な人のために何かを捧げるという行動に踏み込めるかどうか、そして自ら企画立案したアイデアを開発・実用化することができるのか?興味深い結末がいくつも用意されているので、あえてここで触れることは致しません。
脳内会議室にしても人工知能の開発にしても、共通するのは人間の脳の不思議さ、複雑さ。そしてその生身の脳を持つ人間(女性)の何モノにも換えがたい魅力的なところです。