2015年02月20日
GT-R LM NISMO for Le Mans
今年のルマン24時間レースはちょっと注目です!
TOYOTA,AUDI
と云った強豪ハイブリッドカーはもちろんですが,間に割って入る日産の新型がスゴく型破りです。そのお披露目の場が先日のNFLのTVCFというのも異例ですが,もっと驚いたのはマシンそのもの。今ではレーシングカーのほとんどが後ろのタイヤを駆動して走るのに対して,日産のルマンカーGT−Rは驚くなかれ前輪駆動!リアのタイヤよりも前輪が太いと云えば,そのユニークな形態が判ってもらえるでしょうか?
昔の乗用車はそもそもほとんどが後輪を駆動していて,前輪駆動には高い技術と高価な部品が必要でした。イギリスのミニ、ワーゲンゴルフはこうした常識をひっくり返した革命児だった訳です。実は日産も国内では比較的速くFF化に取り組んだ方で1970年にはリッターカーのチェリーを送り出しています。
ちょっと高めのボンネットの内側には英国のミニと同様のメカニズムが載っています.ゴルフに先立つこと4年、トヨタは78年にようやくFF乗用車の量産に取りかかります。
そんな日本車も80年代を機に前輪駆動に変更するクルマが続出しました。当の日産もサニー,バイオレット、ブルーバードと軒並みFF化を果たし,スカイラインも89年式GT−Rでは後輪と前輪を回す四輪駆動で復活を果たしています。
しかしながら前輪駆動のクルマがレースに登場するのは市販車をベースにしたツーリングカーレースなどがせいぜいで、ルマンのような世界の頂点を争うレースとは無縁とも云える存在でした。そんな常識をひっくり返そうというのだから今回の日産の挑戦はちょっとした冒険です.革命かも知れません。成績が伴えば・・・の話ですが。
その極端にロングノーズのプロポーションは半世紀も前のGTカーを思わせます。フェアレディZを名乗った方がふさわしいかも知れません。FF化のメリットは後輪周りの空気抵抗を減らすことと,ブレーキング時のエネルギー回収効率にあると云います。ご多分に漏れず,こちらもハイブリッド,しかし重たい電池ではなく8kgのはずみ車を回します。ブレーキをかけるとはずみ車が超高速で回りだし,再び加速するときのエネルギー源となる訳です。昔遊んだブリキのおもちゃみたいです。
反フロントにブレーキをかけた方が効率よく停まれるのは自転車乗りなら先刻ご承知の通り,つまりハイブリッドが強制だからこその戦略でもある訳です。高速での安定性のよさも前輪駆動の大きな魅力,雨の日のレースには俄然フロントドライブのクルマが好成績を挙げるのも良く知られている事実。面、過大な前輪タイヤの負担をどう減らすかなど課題も山積ですが,この新しいチャレンジに是非注目したいと思います。
井原慶子選手の応援は叶わない今年のルマンですが日産の挑戦は是非とも応援したいプロジェクトです。