2014年11月13日
昭和初頭の名車/1937 Cord 812 Beverly Sedan
映画;雨に唄えばに描かれた時代は1927年のアメリカ、ジャズエイジとも呼ばれた頃の話です。ラジオの普及,音の出る映画の出現、写真雑誌ライフが創刊され大衆向けのエンターテイメントが大きく飛躍したばかりでなく,経済面でも、のちのマンハッタンには相次ぐ超高層ビルが出現するなど様々な分野で革新的なイノベーションがもたらされました。
自動車開発の分野でも、時代は流線型デザインの始まる頃。保守的と思われがちなアメリカでも先進的な乗用車が開発されていました。
コード810という高級車は世界で初のリトラクトラブルヘッドランプ装備というだけでなく、本格的な前輪駆動を採用したアメリカ車としても、大きなマイルストーンとなるべき存在です。その、リトラクタブル部の珍しい開閉の瞬間をカメラに収めました。多分世界的に見てもレアな映像(のはず)
開閉の動作は運転席したの回転ハンドルをクルクル回して行います。
ゆえに左右別々、同乗者が手伝えば同時作動も夢じゃありませんが・・・・
こうした機構は70年代初頭のアメリカ車でも一時流行し、70年代後半の日本にも飛び火しています。嚆矢となったのは67年のトヨタ2000GTでしたが、78年にマツダサバンナRX−7が採用すると、セリカ、いすゞピアッツア、スプリンタートレノ、フェアレディ、インテグラと採用例が増えて85年頃にはアコード、コルサ・ターセルといったフツーの乗用車にまで採用されるようになっていました。(何を隠そう私の愛車も86年から97年までリトラ装着車でした)
小型のプロジェクターランプやLEDの実用化で、大きなヘッドランプを上げ下げする必然性もなくなり、今では過去の遺物でしかありませんが、これを見るに付け自動車デザインの栄枯盛衰の激しさを感じずにはいられません。