2014年11月12日
昭和の国産名車・ルノー4CV(仏)
ルノーのタクシー?と聞いてピンと来る方は,既に60年以上の人生を歩んで来られた先輩たちに限られるかと思いますが,昭和30年代日本の街中には小さなルノー(4CV;キャトル・セー・ヴォー)がタクシーとして数多く走り回っていました。特徴的なのはフォルクスワーゲン・かぶと虫のような四つのまあるいフェンダーと流線型の魅惑的なヒップライン,そして中央にヒンジを持つ前後のドアのユニークな開閉方法でしょうか。
エンジンは後ろでスペアタイアは前,荷物を詰めるトランクは運転席より前,フードを開けた場所に有りますがほかのタクシーほど大きく有りません。だけど,ダットサンのタクシーよりもおシャレで、どこかフランスの香しさも感じられたような気もします
自動車を完成した状態で輸出せず,部品のまま輸出して現地で組み立てを行う・・・コレをノックダウン生産と呼びます。完成車の輸入関税がかからないので,発展途上国向けによく使う手法で、戦後の日本でもこうした欧米からのノックダウン生産車が街中に溢れていました。トヨタやホンダ以外はほとんどのメーカーがとった手法でした。日産のオースチン,いすゞのヒルマン、 三菱はウィリス・ジープ、そして日野はルノー公団の大衆車ルノー4CV(キャトルセーヴォー)を国産化していました。英国高級車のヒルマン、オースチンに較べてルノーは小さく,安いのに4ドア車。当時の小型車タクシーにはダットサンやトヨペットが普及していたほかに,この小さな4ドア・ルノーが良く利用されていました。
かぶと虫よりもホンの僅かに小さなルノーのタクシーが走り回っていたのは昭和30年代前半が中心で,
その後は国産車タクシーが急速に増えてゆきます。日野自動車が東京で現地生産していた「日野ルノー」も国産の日野コンテッサにモデルチェンジして、少し大きく,スタイリッシュに変わりましたがもはやフランス風な雰囲気からは遠ざかってゆきました。やがて日野,いすゞと言ったメーカーは乗用車生産から撤退し、トラック・バスの専業メーカーになっていますが、観光バスではシェアを二分するトップメーカーです。タクシーとして乗車する機会は無くなりましたが、夜行バスや激安ツアーの足として,かなり身近なところでお世話になっているはずのメーカーでもあるのです。