2014年11月19日
こちらもヌーヴォー
このシーズン、数ある秋の味覚のうちで、ボージョレ・ヌーボーなのかボージョレー・ヌーボーか?・・・・我がニュースルーム的には「ボージョレ」の方で統一しています。
・・・季節を問わずフランス車好きの中でも、とりわけシトロエンが好き、と云うマニアは多いようです。ブリキ缶のような2CVは、戦後〜1990年頃まで生産が続き、日本にも熱狂的なファンが沢山いますし、独創的な宇宙船のようなスタイルのDSは最近名前だけがリバイバル復活しています。とにかく独創的なメカニズムで10年も20年も未来を先取りした技術を持ち込むのがシトロエンの真髄。そのルーツは1930年代にまで遡ります。
今では高級車を除く大部分の乗用車が前に積んだエンジンで前の車輪を駆動します。ふた昔程前はこれを知らずに前輪駆動車の後ろのタイアにチェーンを巻いているおばかさんをしばしば見かけました。そんな彼らも30年代だったら許されたかも知れません。大部分のクルマが後輪を駆動して走っていた時代ですから・・・・
クルマが皆、お神輿のような土台の上にボディを載せていたこの時代、シトロエンは甲殻類のような、背骨を持たない構造のボディにエンジンで前輪を駆動する仕組みを実用化しました。名付けてトラクシオン・アヴァン。前輪を駆動するの意味ですが時代に先駆けると云うニュアンスも含まれたはず。フランスを代表する国民車として名を馳せました。ワタシが生まれる直前まで生産されたこのクルマ、その生まれ変わりが液体(オイル)と空気でバネからブレーキ、変速装置までコントロールする画期的な「ハイドロリック・システム」を取り入れたシトロエンDSです。
こちらは2CVより遥かに高価で日本に渡った数も限られましたが、オーナーたちは今でも大切に実用の足として活用しているようです。昔に比べればちょっと独創的な個性が薄れた感のあるシトロエンブランドですが、前輪駆動にしろモノコックの背の低いボディにしろ、世界中のクルマが後を追っていることは言うまでもありません。トラクシオン・アヴァン=【先駆の】は機構的な意味だけではなくトレンドセッターとしてのニュアンスも込められたニックネームでした。