2013年06月23日
キャスターらを救ったUS-2
ヨットで太平洋横断の冒険を行っていた
ニュースキャスターとヨットマンが、悪天候で遭難し
海上自衛隊の救難飛行艇によって救助された
出来事は、改めて自然の過酷さを思い知らされる
結果となりました。
2人を救助したUS-2という飛行艇は、いったい
どのような飛行機なのか。
実は、日本が世界に誇る世界で唯一の救難飛行艇
なのです。
US-2は、新明和工業が開発・製作した飛行艇で、
現在、海上自衛隊に配備が進められています。
初飛行は2003年12月18日で、生産には、新明和が
主要部分と総組み立てを担当し、他に三菱重工や日飛、
川崎重工がそれぞれ部品製造を担当しています。
全長は33.25m、全幅は33.15m、乗員は11名で
ロールスロイス・AE2100Jターボプロップエンジン4基
を搭載しています。
この飛行艇の特徴は、波高3mの水面に着水が可能な
ことで、現存する世界中の飛行艇の中でもこのような
高性能を誇る飛行艇はUS-2だけです。
そのルーツは、1967年に開発されたPX-Sで、後に
PS-1対潜哨戒機として海上自衛隊で運用された
ものが原型となっています。
その後、PS-1はアメリカの対潜哨戒機ロッキードP3C
オライオンの採用で全機退役となり、PS-1と同時に
開発された同型のUS-1が救難飛行艇として運用され
ていましたが、US-2の配備が始まってこのUS-1も
順次退役の予定です。
キャスターら2人を救助した際、海上の波高は3mから
4mの着水条件ぎりぎりの状況だったようですが、
救難隊員らの決死の救出劇で無事救助されました。
US-2は、現在、インド政府と輸出に向けての協議が
行われています。
日本が世界に誇る救難艇が、海外で多くの人命を救助
することが出来ればこんなに素晴らしいことはありません。
世界中で発生する自然災害で、US-2が出動していれ
ば助けられるものをと思われるケースは数多くあります。
一部では兵器に転用されるとの危惧を抱く意見もあり
ますがそれを言えば車だって同じこと、それを運用する
人間の心の持ちよう一つなのです。
救助されたキャスターの目には、この救難飛行艇の姿は
どのように映ったのでしょうか。