2013年06月22日
今度のハイブリッド
アコードというクルマのブランドも日本じゃすっかり影が薄くなってしまいました
日本では、の話です。アメリカではトヨタのカムリと並んで量販車ナンバーワンの
座を争うホンダの収益源です。そもそもはシビックの少し大型版として登場し、
バブルの頃にはアメリカ工場からUSワゴンとか日本にはないクーペが輸入されて
輸入車統計の数字がグンと跳ね上がったりした事もありました。それも今や昔話。
今度のアコード(国内版)は全部がハイブリッドです。一部はプラグインで、充電
する事も出来ますが五百万円もします。プラグインじゃないハイブリッドでも
100%電気自動車とほぼ同じ価格帯。ただし、燃料代は電気よりも遥かに高くつきます。
さて、ホンダのハイブリッドなんて今さら珍しくないじゃん、と思う方がいたら
大間違い。今度はホンキです。はっきり言ってトヨタと真っ向勝負です。
具体的に言えば今度のハイブリッドは変速機を持たない、エンジンとモーターと
あとはクラッチの断続だけ。つまりパワーをロスするギアが最小限に抑えられて
居るところがスゴいんです。
トヨタのハイブリッドもエンジンとモーターを巧みに使い分けて両者の美味しい
処を使っていますが、エンジンとモーターはプラネタリーギアという、幾つかの
ギアの組み合せを経て車輪に伝わります。ホンダはこのギアを単純なクラッチに
置き換えました。高速道路のクルーズならエンジン>クラッチ>ファイナルギア
(デフレンシャルギア)>車軸から車輪へと回転が伝わります。
もうひとつの特徴は出力と回生(発電/充電用)のモーターを分けた事。つまり
トヨタよりちょっとだけ贅沢ということ。さて、プリウスよりも百万円は余分な
出費となるこのアコード、実際に走らせて(見たところを想像して)みましょう。
アクセルを踏んでクルマが動きだす瞬間。これは電気の力だけで、プリウスや
リーフとも同じフィーリング。ただし、アコードのモーターはトルクが30kgm
以上もあるので出足の鋭さはリーフの一割増。どのくらいパワフルかというと
3リッターのポルシェで2速ギアの全力加速と同じ加速度、といっても判らない
ならば信号が黄色になってからフル加速しても大抵間に合っちゃう(個人差が
あります)ほどスゴい。
プリウスとの大きな違いが生まれるのは例えば軽井沢に向かう碓氷峠を
全力で駆け上がるような場合。プリウスだとモーターを回す電池は数㌔
と走らぬうちにカラっぽになり、エンジンはやや高めの回転でプラネタリー
ギアを回します。省燃費型のエンジンなので、レスポンスも緩慢。お世辞にも
スポーティーと云った味わいもサウンドも楽しめません。
アコードの場合はどうでしょう。トップギアの常用域に達するまでは
あくまでモーター駆動です。でも電池は登坂の場合すぐに無くなります。
そうすると、駆動系とは切り離されたエンジンがひたすらモーター
(発電側)を回して電気を起こします。起こしたての電気はお隣の
駆動用モーターに直送(されるはず)です。中低速の登坂中、エンジンは
発電専用で、出力はモーターオンリー。これが今までのホンダハイブリッドと
大きく異なる点です。30kgにも及ぶ強大なトルクはこの場合、必然なわけです。
逆にダウンヒルではプリウスの場合、エンジンブレーキも併用しますから
4000回転くらいまで回転が上がる事があります。アコードは多分すべて
回生用モーターでエネルギーを吸収するので、無音に近い(モーターのうなる
音だけ)のはず。ここが最大の違いです。油圧のブレーキは殆ど介在しない
とホンダは主張しています。その分10%程度と見積もられるプリウスの
回収効率を大きくしのいでいる事が期待できます。
というわけでこの夏レンタカーに借りるならアコードで決まり
もちろん、満タン返しの瞬間まで期待が膨らみそうです