2012年07月23日
オスプレイの憂鬱(その9)
アメリカ軍のティルトローター輸送機
オスプレイ12機を載せた民間の輸送船が、
けさ、アメリカ軍岩国基地に入港し、オスプレイの
陸揚げ作業が始まりました。
基地周辺では、市民団体が陸揚げ反対の気勢を
上げ、きょうは海上デモも予定されています。
2年前にこの「オスプレイの憂鬱」のコーナーで
いずれ、メディアからオスプレイの名前が頻繁に
登場するので注目をと申し上げましたが、にわかに
ヒートアップしてきました。
テレビ報道を見ていて、いくつか気になる点が
ありますので、きょうは余計なお世話だとは思いますが、
批判を覚悟であえて触れてみたいと思います。
まずは、このオスプレイのローターをプロペラと説明
しているケースが見られますが、これは明らかに間違い
です。
プロペラは飛行機を前に進ませる推進力を発生させる
システムですが、オスプレイのローターはヘリコプターの
メインローターと同様に回転する翼の役割も担っています。
従って、これはプロペラではなくローターと表現するのが
正解です。
次に、報道番組内でキャスターがオスプレイの模型を
手にして説明する際に、ローターを逆に回転させている
ケースがありますが、オスプレイのローターは、正面から
見て右側、つまり操縦席のパイロットから見ると左側に
なりますが、この第1エンジンに取り付けられている
ローターは右回転(時計回り)、左側(パイロットから見ると
右側)の第2エンジンは左回転(反時計回り)となります。
ちなみに、説明用に用いられている模型は、イタリアの
プラモデルメーカー、イタレリ製の48分の1のキットが
ほとんどです。
(某テレビ局のニュースには、ろうがんずの会員が製作した
プラモが使われました)
けさ、岩国基地に接岸した輸送船からトレーラーに引かれて
姿を見せたオスプレイは、主翼とローターを折りたたんだ
状態でしたので、びっくりされた方もいらっしゃるでしょう。
この映像を見ていたあるキャスターは、外された主翼が
胴体の上に乗った状態と表現しましたが、これは誤りで
オスプレイは、揚陸艦や空母に搭載されて運用するケース
がほとんどですので、艦内でのスペースをなるべく確保
するために、主翼とローターを折りたたんで搭載されます。
ちなみに、海軍で運用する戦闘機やヘリコプターなどは、
ほとんどが主翼やローターを折りたためます。
オスプレイの主翼は、先ず3枚ある左右のローターが
ヘリコプターモードの状態でそれぞれ翼の内側へゆっくりと
折りたたまれたあと、エンジンが飛行機モードの状態となり、
次に操縦席のパイロットから見て右側の翼が後方へ、
左側の翼が前方へと折りたたんで胴体と平行になります。
(もちろん、主翼は左右の翼が繋がって一体となっています
ので翼の中心点を基点に回転して収納されます)
岩国基地に陸揚げされたオスプレイは、基地内で組み立て
られたあと、今後、数ヶ月にわたって運用試験が行われ、
10月上旬には沖縄の普天間飛行場に配備される予定ですが、
オスプレイの安全性が再確認されるまでは、試験飛行は
行わないとアメリカ側は明言しています。
今後、オスプレイがどのような道筋を辿るのか、「オスプレイの
憂鬱」では、引き続き注目していきたいと思います。