2012年07月02日
オスプレイの憂鬱(その8)
空中停止が出来るヘリコプターの長所と
スピードと航続距離を誇る飛行機の長所とを
兼ね備えたティルトローター機ですが・・・・・
ヘリコプターでもなく飛行機でもないところに
問題が・・・・・・
V-22オスプレイは、翼の先端に取り付けられた
エンジンを傾けることによって揚力と推進力を得る
大きなローターを持っています。
このローターの直径は11・61メートルあり、
1枚のローターの長さは4・9メートルです。
この直径は、一般のヘリコプターのメインローターに
比べると、かなり小さくなっています。
例えば、現在、普天間飛行場に配備されている
ボーイング・バートルCH-46のローター直径15・24
メートルに比べると約4メートルほど足りません。
オスプレイのローターは、ヘリコプターとしての回転翼の
機能と、飛行機の推進力としてのプロペラの役割を
担っており、あまり直径を大きくすることが出来ないのです。
このことが、ある条件下でないとオートローテーション機能を
効果的に働かせることが出来ないというデメリットになって
います。
オートローテーション機能は、ヘリコプターに備えられている
機能で、飛行中にエンジンが停止した場合、クラッチを
外してローターを空転させて揚力を保ちながら安全な場所に
着陸するというものです。
オスプレイは、ローター直径が小さいので、スピードが
時速200キロ以上ないとヘリコプターモードでのオート
ローテーションが行えません。
もちろん、オスプレイには左右2つのローターをリンクする
クロスシャフトが備わっており、片側のエンジンが停止しても
両方のローターの回転を維持することが出来ます。
飛行機モードでエンジンが停止した場合は、ヘリコプター
モードに切り替えることは出来ず、水平飛行のまま
緊急着陸することになります。
この場合、通常の飛行機のプロペラに比べて直径の
大きなオスプレイのローターは最初に地上に接触し、
その衝撃でシャフトから切り離されます。
これは機体に深刻なダメージを与えないための措置
です。
オスプレイには飛行機と同様の翼が付いていますが、
翼だけで機体に揚力を持たせるには翼面積が不十分
で、ローターの助けを借りて揚力を保っています。
つまり、オスプレイはエンジンとローターが完全に機能
することがより重要になってきます。
もちろん、これは一般の航空機にも言えることですが・・・・・