2011年04月17日
K-MAX投入を検討
核燃料制御への戦いが続いている福島第1原発の
最前線に、アメリカ政府が無人の吊り下げ物資輸送
ヘリコプターを投入することを日本側に打診している
ことが分かりました。
共同通信によりますと、このヘリを使って4号機などの
使用済み核燃料プールから燃料を取り出すための
大型クレーンの設置や、汚染水を一時的に蓄える
仮設タンクの建設案などを打診しているもので、
遠隔操作のため放射線量が高い現場での作業も
可能となるとしています。
投入が打診されているヘリコプターは、アメリカの
ロッキード・マーチンとカマン・エアロスペースが共同開発
した交差反転式ローターを採用した「K-MAX」です。
日本ではジャパンロイヤルヘリコプターやアカギヘリコプター
が採用して、山間部での森林伐採で切出された木材運搬
などに活躍していますので、2枚のメインローターが交差
しながら互いに反対方向に回転して飛行する奇妙なスタイル
のヘリコプターをご覧になった方もいらっしゃると思います。
日本ではK-MAX1200と呼ばれており、重たい荷物を
吊り下げて垂直に飛行することに特化したヘリのため
1人乗りで、操縦席はパイロットが左右の下方視界を良く
するため極端に狭くなっており、風防も下が良く見えるように
バブルウインドになっています。
1人乗りなら整備士はどうするの?という質問が聴こえて
きそうですが、ご心配なく!そのために何と!外付けの
座席を備えています。
ローターが交差反転式のため、通常のヘリコプターに比べて
自立安定性が高く、ホバリングも安定しているため荷物を
運ぶにはもってこいの性能を有しています。
今回、アメリカ側が打診しているのはこのK-MAXの無人
タイプで、ヘリそのものはカマン社が開発したものですが、
これに遠隔操縦システムをロッキード・マーチンが担当し、
無人化が実現しました。
放射能という見えない脅威との戦いのため、今回の事故では
無人偵察機のグローバルホークを始め、写真撮影用の無人
ヘリコプターや地上を走行する偵察ロボットなどさまざまな
遠隔操縦機器が採用されたり検討されたりしています。
問題はこうした機器をいかに迅速に、かつ適切に投入するか
ということです。
最先端科学技術の脅威に対しては、やはり最先端の科学
技術力で対応しなければならない現実を私たちは今回
目の当たりにしました。
科学技術力を1番ではなく2番ではいけないのかなどとした
現政権下で起きた未曾有の国難と単なる皮肉では片付けられ
ないところに、今回の事故の深刻さがあります。