2010年11月28日
買える?1810万円
三菱のi-MIEVに始まって年末にカリフォルニア州限定で発売が開始される(実はハイブリッドだった)シボレーボルト、来週いよいよ発売開始の日産=リーフと
今年は市販電気自動車の大量生産が始まった一年として歴史に残るかもしれません。
そして、それらの嚆矢となった感のある「テスラ・ロードスター」
新聞等でカリフォルニアのベンチャー企業と紹介されることの多い
「テスラモーターズ」ですが、いち自動車メーカーとして青山に
ショールームをオープンしています。
日本でも注目のテスラロードスターはロータスエリーゼの車体にパナソニック製のリチウムイオン電池を載せたEV版のロータス・エリーゼと思われがちですが、実は大間違い。実際の車体製造は確かにロータス社が請け負っていますが、ノーズもWBもより長く、ハイトは逆に低い!デザインもサイズもエリーゼとは別物!
おまけに材質も全てカーボン(CFRP)製と、桁違いのコストが掛かっています。推定で500万円相当のバッテリーは450kg/
電池代を含めて一千万円でも足りないこのクルマの購買層を惹き付けるにはポルシェターボも凌ぐ圧倒的な加速性能が必要不可欠とか.確かにスペックを見ても遜色のない数字が並びます.負けているとすればラゲッジスペースが限られている、くらいのもの。ゴルフバッグはおろかせっかく
成田までキャビンアテンダントを迎えに行ってもキャリーバッグを載せて帰って来るスペースすら見当たらないほどで、使い道もユーザーそれなりに限られそうなクルマですが1tちょっとの車重と394kmの航続距離は何より魅力的。都内の足代わりに使うには過不足無いサイズ、性能ですし週末の伊豆/軽井沢往復くらいなら難なくこなせそうです。メーカーは利益が出ないと主張するし.2011年でロータスとの提携は終了と伝えられており、生産がどうなるかは不安.買う(気がある)なら今のうちでしょうか?
青山への出店で注目度も高いらしく普及版の開発をいち早く望みたいところ。上海よりも東京を拠点に選んだところはさすが!環境意識の高い日本の顧客があればこそ・・・です
2012年デビュー予定の4ドアボディ「S」も自社デザインのフル・オリジナルで価格が4万ドル台というのだからちょっとした脅威です。こうなると「ベンチャー企業」の肩書きも書き換えざるを得なくなるかも?フェラーリ、BMWといった企業を規模で上回る日も意外に近いか??何しろこのメーカーにはバックオーダーこそあれ、売れ残り在庫車がありません!!!
ここでちょっと心配なのは所謂三大メーカーや石油業界の出方で
(クライスラーを大メーカーの仲間に入れるのは躊躇しますが)
アメリカではしばしばこうしたベンチャー企業や画期的な新製品
に対して冷たい仕打ちを浴びせた前歴がありました。映画にもなった
「タッカー・トーピード」は空冷エンジンをリアに積み斬新なスタイルと
抜きん出た性能で大ヒット間違いなしと目されていましたが、大手企業の
ロビイスト達が頑張ったお蔭で、創業者は詐欺師扱いされ、訴訟の末に量産計画はご破算になりました。
同じような経緯を大メーカーのGMも味わっているのは皮肉な結果、
同じく空冷、リアエンジンの意欲作、シボレーコルベアが、
消費者運動の最右翼、ラルフネーダー弁護士の格好の餌食に
なってしまいます。さらにGMは10年ほど前に開発した電気自動車=GM・EV1でも
同じようにどこかからの圧力を受けて、全車スクラップに、という憂き目を見ています。
テスラモーターが成功を収めた暁には燃料関連業界も
既存の自動車メーカーも安穏とはしていられません。
とりわけ、ガソリンを売って糧にする企業にとっては
飯の食い上げにもつながりかねない一大事。
小さな企業のエコを育てる為には大きな企業のエゴが邪魔・・・・・・
電気自動車普及のためにはこうした「ライバル」たちの
魔の手から如何に守ってあげるかと言うのも、不可欠な要素かもしれません。