2010年05月23日

オスプレイの憂鬱(その2)

オスプレイとは、3年後には沖縄海兵隊にも
配備が予定されているティルトローター機
MV-22(海兵隊仕様)のことです。

アメリカのベル社とボーイング・バートル社が
共同開発したもので、開発中のトラブルもほぼ
解消し、現在、順次配備が進められています。

主翼の両端にあるローターを離着陸時には
水平にして浮かび上がり、上空で除々に
進行方向に傾斜させて飛行機のプロペラと同様に
推進力として機能させる画期的な航空機です。

沖縄のアメリカ軍普天間飛行場の移設問題は、
結局、現行案とほぼ同様の形で日米決着が図られる
ようです。

普天間問題が浮上して8ヵ月余り、沖縄県民をはじめ
国民を振り回してきた現政権は、結局、新たな移設案を
示すことが出来ないまま政治決着を図ろうとしています。

普天間問題で最大の国家的な損失は、このすったもんだの
間に我が国の国防や安全保障に関する脆弱性が国際的に
広く知れ渡ったことです。
最高指揮権を持つ一国の総理が、安全保障に関して
この程度の認識しかなかったのかと各国が受け止めたら・・・
これは国家の信頼性が著しく損なわれることを意味します。

今後、在日米軍やアメリカ太平洋艦隊に頼らざるを得ない
安全保障上の問題が次々と浮かび上がるかも知れません。
(中国海軍の太平洋も含めた日本近海のプレゼンスなど)

さて、MV-22オスプレイは、一部に騒音が現在の
ヘリコプターより4倍以上大きいとの報道がありますが、
どうでしょうか・・・・・

オスプレイのエンジン出力がヘリコプターに比べ数倍大きい
という事実がその根拠になっているようですが、ヘリコプターの
騒音のほとんどはメインローターの風きり音にあります。

出力の大きなエンジンによる騒音よりもローター音が問題
ですが、オスプレイのローターは左右の2つ、3枚プロペラで
普通のヘリコプターのローターよりもゆっくりと回転します。

しかも、騒音は離着陸の際に、ローターを水平の位置に
している時は大きいのですが、上空で前進を開始すれば
飛行機のプロペラと同じで風きり音がなくなり殆ど騒音は
気にならない程度になるようです。

問題となった開発中の連続した墜落事故も、両方のローターの
回転数を同じに保つシステムの改良など多くの点で改善され、
現在は問題なく部隊配備が行われています。

シュワブ沿岸に新たな基地が建設された頃、その滑走路に
降り立つのはMV-22オスプレイかも知れません。

海兵隊の訓練は陸、海、空が一体となってはじめて効果的に
行われるもので、ヘリコプターの訓練施設だけを別の場所に
移す考え方自体ナンセンスと言わざるを得ません。

沖縄県の人々を翻弄させた普天間移設問題、今後、様々な
形で尾を引きそうです。

| 08:44 | コメント(2) | カテゴリー:田中穂蓄

コメント

田中さん、おはようございます。
普天間飛行場移設問題、迷走中ですね・・・
報道を見ていつも、官と民の意識の違い、相容れる事自体奇跡、なのかと感じてしまいます。
田中さんの記事を拝見して、我が国の国防、安全保障に対する脆弱性に非常な危機感を覚えます。
今、我々の個人レベルでも、危機管理、自分で自分の
身を守る意識、いつ飛んでくるか分からない火の粉に対しても、常に意識、予防・防衛を考える時代にいることを痛感します。

投稿者 ちなみん : 2010年5月23日 09:41

ちなみんさん、ありがとうございます。
国防や安全保障の問題は、何も戦争に備えるという意味だけではありません。
一つの国家が他国と関わりを持つためには、国家の存在感を示す必要があります。
それは軍事力であり、外交力でもあります。
朝鮮半島や東アジアの緊張が解消されない以上、軍事的なプレゼンスは必要ですが、何よりも大切なのは時の政権が国家を国民を守るという意気込みを世界に示すことにあります。
その意気込みが希薄だからこそ、今回のような事態を招いたのではないでしょうか。

投稿者 ホヅミ : 2010年5月24日 09:04

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