2010年04月16日
私のラジオデイズ92
鉄道マニアの世界では、鉄道部品のジャンク市や
オークションは珍しくありませんが、飛行機の世界
ではあまりお目にかかることはありません。
(成田の航空科学館では定期的に開かれますが)
ところが、1970年にとんでもない代物がオークションに
かけられました。
そのとんでもない代物というのは、何と!ダグラス
DC-3、双発のプロペラ旅客機です。
ダグラス旅客機の最高傑作と言われるDC-3は、
軍用に用いられたものも含めると1万機以上が
生産され、戦後、日本でも全日空や伊藤忠などが
この機体を使用しています。
オークションにかけられたのは、全日空が貨物機
として使用し、その後、伊藤忠航空や中央航空に
引き取られたJA5078です。
高度経済成長の絶頂期の1970年、東武百貨店が
中元商戦の目玉商品として、本物のDC-3を
オークションにかけることになり、その取材を行い
ました。
この時も、取材を行ったのは私の他数人でTVカメラは
入っていなかったと思います。
おそらく物好きの記者ばかりが集まったんでしょう。
1回目のオークションは500万円、最終的に610万円
まで競り上げた栃木県小山市の小山遊園地が落札
しました。
残念ながら、私は小山遊園地には行ったことはありま
せんが、当時、小山遊園地内には1980年代の
中頃までこのDC-3が展示されていたようです。
その小山遊園地も2005年に閉園したようで、その後、
DC-3(JA5078)がどのような運命を辿ったのかは
私個人は不明です。
(スクラップにされたかも・・・・・)
日本には各地に航空博物館がありますが、その殆どが
小規模なもので、歴史的にも貴重な航空機を多数展示
するようなスペースはありません。
かつて、羽田空港の沖合い移転跡地に大規模航空博物館
を建設してもらえるように国や東京都、大田区などに要望
する動きがあったのですが結局、航空博物館は実現しませ
んでした。
(私の所属する航空ジャーナリスト協会の一員としてこれに
協力しました)
日本人にとって飛行機というのは鉄道や自動車に比べ
あまり一般的ではなく理解してもらえない存在なのかも
しれません。
私が40数年間、航空取材を続けてきたのは、少しでも
飛行機の魅力、面白さを理解してもらいたいとの思い
からでした。
何度も申し上げているように、航空機は知識集約型の
産業構造から生み出される最先端の科学技術を結集
した製品です。
「ものづくり」の文化を後世に伝えるためには、最適な
工業製品のはずです。
日本の空で活躍した航空機が、1機、また1機と姿を
消していく現実を見つめてきて、彼らがゆっくりと翼を
休める場所があったらと、取材の度につくづく思うので
ありました。
世界各地ではいまだにDC-3が飛び続けています。
「007/慰めの報酬」に登場したように・・・・・・
傑作機は永遠に不滅です。