2009年12月01日
目が点の米軍訓練の関空受け入れ論議
毎日ニュースを扱っていると、時折、理解できない
ニュースが入ってくることがあります。
米軍訓練の関空受け入れ論議もその一つです。
大阪府の橋下知事はきのう、米軍の
普天間飛行場移転問題に絡んで、
戦闘機の一部訓練を関西空港で受け入れる
案について、「国から提案があるなら初めから
一切拒否というわけにはいかない。勿論、
受け入れるわけではないが、議論は拒否しない」
と述べました。
また、関空の将来像として「目指すのは国内線、
国際線でのハブ空港であり、軍用機の航空需要は
念頭にない」とも述べています。
いずれも共同通信が伝えているもので、きわめて
正論というべきでしょう。
米軍の訓練の一部というのは、言うまでもなく
普天間飛行場に展開するアメリカ海兵隊の訓練と
いうことになります。
アメリカ海兵隊は第二次大戦以降、歴史的な視点
で沖縄とは密接な関係にあり、戦後の日米安全保障
の一翼を担ってきました。
この海兵隊の大きな特徴は、その任務にアメリカ本土の
防衛が含まれていないということです。
つまり、海兵隊は東アジアの安全を保障するために
(日本を防衛するために)アメリカから派遣されている
軍隊であり、兵士たちは基本的に志願兵で構成
されています。
有事の際には第一線で戦闘を行う「殴りこみ部隊」の
「命知らずの野郎ども」で構成される実戦部隊なのです。
従って、日常の訓練は地上戦を想定した戦闘訓練が
中心であり、海兵隊に於ける航空機は兵士を運ぶ
輸送機やヘリコプター部隊、地上戦を空から支援する
海兵隊所属の戦闘機(F/A-18ホーネットなど)などが
少数配備されているだけです。
しかも、戦闘機は艦上戦闘機と呼ばれる航空母艦から
離発艦する戦闘機なので、関空のような所で地上から
離発着の訓練をしてもなんの意味もありません。
(船のように揺れないし・・・・・)
世界の笑いものになるような議論は国益を損なう
以外の何ものでもないことを知るべきだと思うのですが・・・
普天間飛行場の移転問題は場所を変えればすむと
いう問題ではなく、日本の安全保障の在り方そのもの
に関わっていることを理解すべきで、その論議がないまま
この問題を論じても、とても国民の理解を得られるものでは
ないと思います。