2009年12月13日

i-Mievに乗ってみました!

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一般ユーザー向けのプラグインタイプ電気自動車としては第一号の
i-Mievに乗りました。見た目はフツーに軽自動車。キーレスエントリーでドアを開け

る前にちょっとおさらい

ライバルは輸入大衆外国車?

この車、まともに買ったら460万円以上
318よりもC180よりもレクサスISよりも
高価です。国からの補助金で130万円近く安く
買えるほか、横浜在住ならさらに60万ほど
割引も可能ですが、それでも300万円近いお買い物
見た目はどう転んでも軽自動車。ガソリンで動く
三菱iと比べてもデカールがなければ素人目には同じ

では、300万も払ってこの車を手に入れる価値があるかどうか

早速運転席に座って見ます。エンジンをかける前に・・・・・・・
エンジンはついてなかったんだ・・・
キーをひねると常時点灯式のメーター類に灯が入る
燃料計の場所には電池残量計Dscn8592

反対サイドには航続可能距離がデジタル表示される
ほぼ満充電状態で50�?
実は学習機能によって航続可能距離はいくらでも
変化する仕組み。これまで如何に荒っぽい運転で
操られてきたかの動かぬ証拠といったところか?

冬が苦手なワケ

走り出す前に試したかったのはヒーターの効き具合。
まもなく厳冬期を迎える電気自動車の一大鬼門は暖房問題です
エンジンと言う巨大な熱源を持たない電気自動車がどうやって
暖房エネルギーを手に入れるか?。電車と同じ電気暖房に頼るほかない。
あ、これも電車か?
この暖房エネルギーが馬鹿にならない代物で
搭載されたヒーターにブーストをかけて全開にすると
とたんに航続距離の数字は半減。

へたくそな寒がりドライバーだと25kmも走ったところで
危険ゾーンに突入する恐れもある。電気暖房ゆえに
エンジンよりは気持ち早めにあったまるようだ、けど電気イスの方が
効率は高そうだ。電力消費量も膨大なもので、航続距離の半分を
明け渡す覚悟がなければ、厚着で乗り込むしかない

カタログでうたわれている160kmの航続距離は
あくまでも理想的な環境で余計な電力を一切使わず
ケチケチ運転に徹した場合に運よく到達できる
限界の距離と思ったほうがいい。
実用的な行動半径はその半分にも満たない計算。


燃料計に代わる電池残量計は16セグメント
後続可能距離は50kmの表示がでている。
学習機能が備わっているので、これまでに試乗した
ドライバーは飛ばし屋揃いだったと想像できよう

速度自覚のないレッド・チケット?

シフトレバーはNから下へD,eco、Bの
順に並ぶ.加速動作ではBとDの出力は同じ。
減速パターンのみが違うのだそうだ。発進はトルコンAT
みたいにクリープもする様にセットされていて
違和感は無い.18㌔相当のトルクに多少遠慮がちに
アクセルを踏んでみる.加速に比例した音の増減も無く
滑る様に50㌔以上に達してしまった。

喧しいタイアを穿いたプリウスなら車速に応じて
ブロックノイズの高まりがきこえるものだがそれすら無い。
軽サイズのセルシオに乗っているかの様な感じ
新幹線300系の方がまだ喧しい、というか
スピード感が有る.メーターと景色の変化に目をつぶったら
スピードの変化を知覚させるものは無いに等しい。
といったら少々大げさか?音の静かな1.5リッタークラスに
2リットルのおとなしいエンジンを積んだような感触。
音の静かさではプリウスを遥かに凌ぎ、セルシオと競っても
分がありそう。
この静かさが、走り出してスピード感の感覚を狂わせる
要するに運転免許卒業検定時よりもスピードが出すぎてしまうのだ。
桜田門方面公務員のネズミ探し勤務には格好の餌食となるだろう。
10%相当の上り坂でも、D,ecoモード共に
不足無いか速力を感じさせる.街中のダッシュは必要充分以上
これだけのポテンシャルをどうやって航続距離に活かせるかの方が
これからの問題になりそう。
Bモードの減速力もそれほど顕著なモノではなく
減速比に例えるならば1.3くらいのシフトダウンに感じる。
強めのBと二段階の減速パターンが選べたら完璧
ecoモードからDへのシフトアップはキックダウンに近い感覚だ。

5.1kmほど走って航続距離の残高は3㌔減っていた。
走行中は軽自動車を感じさせるいかなる貧弱な印象もなかった。
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電池の残量は1/16の消費.小数点以下を無視すれば
この距離の16倍、80㌔が航続可能な距離となる
(走行中は空調、音源全てオフ)
カタログ通りの160kmを走り切るには
空いた熊谷バイパスをお日柄のいい日を選んで音も無く
静かに移動しなければならないようだ。

さて、この車を採点するとしたら?

電池単位のコストはどうやら170万円.車体本体は
電装品がらみで300万円弱の計算となるが、これでも
利益にはならないそうだ。もしも
189万円くらいの値札がついていたら間違いなくお勧め品
軽自動車では味わえない重厚な乗り心地と
パワー不足を感じさせないトルク、登坂性能に加速力
おまけに静かでスムーズな軽自動車はガソリンエンジンでは
実現不可能。
288万円くらいだとちょっと悩んでしまう。
電気代がガソリンよりお得といっても
百万円かそこらで買える軽自動車に200万円の
付加価値を見出せるかといえば、それは
買う人の考え方次第。300万も出せば
いくらでも快適でスムーズな車が手に入る。
では、この車どこまでコストダウンが可能なのか
はっきり言って電池を安くしただけでは無理
リチウム電池は500サイクルをめどに効率が急低下
するので、170万円ほど費やして買い替えが必要
電池代抜きでも三百万円近くかかるのは
それだけ電装品のコストが高くつくからで、
この後発表になる日産リーフとて、それほど
安価に大量生産できるかどうかは疑問。
プリウスと真っ向から勝負するためには
二百万円台前半に抑えなければ勝てない

量産効期待できるのは
少なくとも11年以降の話・正直、日産リーフがDscn8563
(写真は試作車)
200万円以下の正札を付けられるかどうかは疑問符がつく.
モーター、制御系のコストも電池に負けず劣らずばかにならない筈
もっと不透明なのは政治判断、
さて、2010年秋の時点で補助金はいくらでるのでしょう???


車の未来は見えてきたか?
今日現在の時点で電気自動車が未来の自動車になりえるか
といえば、まだまだ無理と答えざるをえないだろう。
航続距離の問題、充電インフラ、暖房エネルギーなど
まだ解決できていない問題はあまりにも多すぎる
いかにガソリン、ディーゼルのエンジンが効率が高く
使いやすいかを改めて証明したようなものかもしれない。

反面、電気自動車の静かさ、経済性はガソリンエンジンが
逆立ちしてもかなわない部分。レクサスの最高級クラス並みの
静粛性と軽自動車に勝る経済性はガソリンエンジンには
敵わない素質となる。当面はハイブリッド車が天下を
とり続けるだろうが、どこまで純粋な電池自動車に近づけるかが
これからの十年の動向を左右しそうな気がする。
今年はGMも電気自動車を発売予定

電気自動車元年となりますか・・・

| 16:22 | コメント(2) | カテゴリー:吉田雅彦

コメント

電気自動車の先行きは国や社会がどれほど真摯に対応していくかにかかっていると思います。
と同時に、ガソリンエンジンがどれほど「偉大か」と言う事にも気づかされます。
電装を含めた車体関係については今後の増産やモジュラー化でコストダウンの期待もありますが、
バッテリーを数年単位で換装しなくてはならない高コストがどうしてもネックになると思います。
もちろん、航続可能な距離の更なる伸長も課題ですし、
エアコンを使うのにも躊躇が必要な状態も「まだまだ感」がぬぐえません。
EC-02や電動アシスト自転車もそうですが、
やっぱり冬(低温)と言うだけでバッテリーの能力がどうしても低下してしまいます。
このような「特性」をユーザーには予め理解しておいて貰う必要がありますし、
メーカーは可能な限りこのギャップを減らす事も求められます。
充電施設などのインフラ整備、80%程度までの充電時間の更なる短縮の必要性、
数え上げたらまだまだありそうですが、
この先の「100年」を見据えて、弛まずに前進し、
ぜひとも電気自動車におけるイニシアチブを取って欲しいです。

乗車した印象はEC-02に似た感じなのでしょうか?
モーター車の特徴である加速初期から最大トルクを発生する、
あのパワフルな加速感はなかなか楽しいですよね!

リチウムイオンバッテリーがどこのメーカーのセルなのかがちょっと気になったりします。
500サイクルってことは、多分東芝の「キャパシタ」では「無い」のかなとは推測できますが、
日立なのかサンヨーなのか…?
それにしても170万円を2~3年毎にって言うのは…。

投稿者 KAWAノリ : 2010年3月 3日 01:10

そういえば,最近携帯電話の電池が急に
キャパダウンした感じがします。購入からは
そろそろ3年、500充電サイクルに達していたら
お取り替えのタイミングかもしれません。

EC02に乗っていてつくづく思うのは、
ガソリンエンジンだったら遠回りや寄り道が
いくらでもできるのに・・・・・・ということ
ガソリンエンジンの優位はなかなか揺るぎそうに
ありません。出力もオトナと子供の差以上の開き。
EC02の航続距離は気温30度以上の夏場には、
エコモードでなら最大32kmオーバー
(体重71Kgの場合)ですが、気温10℃未満で
パワーモードを駆使すると19kmにも届かない
こともあります。気温5℃未満ではライダーの根性が
うまく機能せず今のところ計測不可です。
エコモードで最大5km位は稼げるので、
温度依存による能力低下は1℃につき
2..5%前後と概算できます。ただし二輪車なので
暖房エネルギーは使っておらず昼夜の区別なく
ライト点灯なので、四輪の場合変化量はこれより
大きいでしょう。
走行フィーリングで一番の大きな違いは『音』です
EC02は日比谷線のような高周波のノイズを伴い
車速に比例して音が変わるのに,I-MIEVはずっと静かなまま。
プリウスなら充電状態の如何によっては
エンジンの音もわずかに伝わって来ますが
I-MIEVは車速に比例して変化する音が
全くないので、加速の実感がなかなか味わえません。
ともすれば、某公務員のノルマ達成の餌食になるのも容易?

日産リーフの電池はラミネートサンドイッチで
軽量化は可能ですがコスト的にはどうなんでしょう?
NECからの供給で、これだけ大規模なリチウム
イオン電池生産がすんなりと軌道に乗るかどうか?
大規模なリコール騒動など起こしてしまったら
電気の存亡に係ります。三菱が周到以上に慎重な
姿勢を見せているのは,採算よりも信頼性を重視しすぎて
居るからなんだろうと私には思えます。


どちらも実用的な航続距離は100KMに届くか
どうかのレベルで、これ一台であらゆる用途に
というわけには行きませんが、都内の営業や
配達用としてなら毎日の足として活躍してくれるでしょう。
三菱の電池はGSユアサ供給、三菱・水島工場内に
生産ラインを内製化したことで、コストダウンに
繋がればいいんですが・・・・・・

現状の航続距離ではとてもガソリンスタンドの経営を
脅かす存在とはなり得ませんが,いつの日か
航続距離が一日のドライブの平均距離に達した暁には
(一般道で300km以上)石油業界も安穏としては
居られません。アメリカの様に早々と電気自動車を
片っ端スクラップにしてまわる様な荒技は考えられませんが
スタンド経営は現状でも厳しいものがあり,消費の減少を
真剣に考えなければならないのは現時点でも急務です。

投稿者 吉田雅彦 : 2010年3月 3日 23:42

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