2009年10月30日
大は小を兼ねる?
沖縄の普天間飛行場の移設問題をめぐって、
岡田外務大臣が発言した嘉手納基地との
統合案が論議を呼んでいます。
普天間飛行場の機能を嘉手納基地に移設
しようというものですが、ご存知のように
この案は過去にも浮上したものの実現しません
でした。
その後、岡田外務大臣は統合案をあくまでも
個人的な見解と修正しました。
では、この統合案はなぜ実現が難しいので
しょうか。
それは、この2つの基地が持つ機能を知れば
分かるはずです。
先ず、普天間飛行場はアメリカ海兵隊が駐留する
海兵隊基地です。
ご承知のように海兵隊は、陸軍や海軍、空軍の
機能を備える戦闘部隊です。
精鋭の戦闘兵士たちをヘリコプターや揚陸艦に
乗せ、戦闘の最前線に投入させる部隊で、
普天間に展開する部隊は、嘉手納基地の駐留
部隊よりも兵員の数は多くなっています。
一方の嘉手納基地は極東最大の空軍基地です。
空軍は言うまでもなく、戦闘機による制空権の
確保が主な目的です。
従って、同じアメリカ軍でも海兵隊と空軍とでは、
その運用や指揮系統はまったく異なります。
異なった部隊が同じ基地内で作戦を展開するには
かなりの無理が生じ、迅速な対応が求められる
ミッションには対応出来ないことになります。
こうなると基地としての機能は失われ、重大な
瑕疵が生じます。
2つの異なった軍隊が同じ基地内でそれぞれ異なる
作戦行動を行い混乱する様子を想像してみて下さい。
アメリカ側は当然反発するでしょうし、地元住民も
騒音や危険リスクの増大で反対するでしょう。
残念ながら、米軍の再編は東西冷戦構造の
解消で必要なくなったヨーロッパ駐留軍の大幅
縮小が主な目的で、極東や太平洋に於ける
米軍の存在は逆に重要度を増しています。
こと、この嘉手納、普天間の統合案に関しては
大は小を兼ねないのです。