2009年07月07日
さらば!マクナマラ
1960年代、アメリカのケネディ政権や
ジョンソン政権下で国防長官を務めた
ロバート・マクナマラさんが6日朝、
ワシントン市内の自宅で亡くなりました。
93歳でした。
その人、一体何なの?という声が聴こえて
きそうですが・・・・・・
ロバート・マクナマラ元国防長官と言えば、
映画にもしばしば登場する人物です。
代表的な作品は、2000年制作の
アメリカ映画「13デイズ」。
ケネディ政権下で起きたキューバ危機の
13日間を描いた作品で、ケビン・コスナーが
製作・主演し、大統領特別補佐官の
ケネス・オドネル役を演じました。
映画の中で重要な役割を演じる
ロバート・マクナマラ国防長官には、
ディラン・ベイカーが起用されています。
もう一つの作品は、アカデミー賞最優秀長編
ドキュメンタリー賞に輝いた「フォッグ・オブ・ウォー/
マクナマラ元米国防長官の告白」です。
20世紀を象徴するスーパーエリートと言われた
ロバート・マクナマラが、その栄光と影を自ら
振り返るドキュメンタリーです。
ここまで申し上げれば、「ああ彼のことか!」と
思い起こされた方もお出でだと思います。
国防長官を辞めた後、世界銀行総裁にまで
上り詰めた、まさに「歩くスーパーコンピュータ」でした。
国防長官時代のマクナマラさんと言えば、何といっても
費用対効果のマクナマラ理論を振りかざしての
兵器開発コストの削減でしょう。
最も有名なのは、アメリカの次期主力戦闘機開発を
空軍と海軍共用で行ったことでした。
それまで、空軍と海軍別々に行っていた戦闘機開発を
同じ機種で統一しようという、当時としては画期的な
開発方法でした。
開発されたのは、ジェネラルダイナミックスF-111戦闘機、
空軍型は順調に開発が進みましたが、海軍型は
困難を極めました。
艦上戦闘機は、航空母艦に着艦する際、降着装置に
強烈な衝撃が加わりますので、足回りを頑丈にしなければ
なりません。
この足回りの開発で重量がかさみ、戦闘機としての性能を
大きく損なう結果となったのです。
このため国防総省は、海軍型の開発をあきらめ、
出来上がったのは、空軍型のF-111だけでした。
高速飛行時に主翼が後退する可変翼を装備した
革新的な戦闘機でしたが、アメリカでは短期間の配備に
終り、この戦闘機を唯一購入した国、オーストラリアで
現在も使用されています。
実業家としての立場からアメリカの国防予算に
大なたを振るったマクナマラさんでしたが、
自らの理想とは裏腹にやがて批判の対象に立たされ
国防総省を去っていきました。
しかし、マクナマラさんが確立した兵器開発の
システム分析理論は各国でも取り入れられ
現在も経費の削減に活かされているのです。