2008年12月08日
私のラジオデイズ57
日本初の民間FM放送局「FM東海」が、
新たに「FM東京」としてスタートした後も、
放送は東京・虎ノ門にある発明会館内の
スタジオを使用して行っていました。
当時のスタジオは、セキュリティの配慮などは
まったくなく、来訪者はエレベーターで3階まで
上がると、ガラスのドアを開けて簡単に
スタジオ付近に近寄ることが出来ました。
そして、ある時、とんでもないハプニングが起きました。
昼の番組の放送中のことです。
いつものようにオープニングの挨拶をして、
リクエストを紹介していると、突然、
スタジオのドアが開き、行商のおばちゃんが
スタジオ内に入ってきました。
「お兄さん!落花生いらねえか?・・・・・・・」
一瞬、何事が起きたのか判断できないまま、
とにかく音楽を紹介してレコードをスタートさせました。
そのあとマイクのスイッチであるカフボックスの
つまみをオフにして・・・・・・・(つまり放送に乗らない
ようにして)
「ごめん!!おばちゃん、いまこのスタジオ生放送中
なのよ、後にしてもらえる!」
おばちゃんは、その場の状況を知ってか知らずか、
おもむろに背負いかごを下ろして、中の落花生を
取り出そうとしています。
「あ~~~っ!おばちゃん!あと、あと、あとっ!!!」
いまなら、こんなおいしい出来事はそのまま放送に
乗せてしまうところですが、当時はそうはいきません。
なにしろ、格調の高さを売り物にしているFM放送ですから、
冗談はなしです。
何はともあれ、この場は丁重にお断りをしておばちゃんに
スタジオから出て行ってもらいました。
それにしても、おばちゃんはよくスタジオのドアの開け方が
解かったものです。
(スタジオのドアには、旅客機のドアの内側に付いている
大きなノブのようなものがあり、これを力いっぱい下ろさないと
開けられないようになっています)
ひょっとすると、前にも同じようなことがあったのかも
知れません。
セキュリティの厳しい今では、一歩たりともスタジオに
近づくことは出来ませんが、当時は何とものどかな
スタジオ風景でした。
そう言えば、一度、注文したラーメンの出前がスタジオに
入ってきたこともありましたっけ・・・・・・・
「へい!お待ち・・・・・」
「・・・・・・・・・!?」