2008年09月05日
ボーイングがMRJを支援
国産初のジェット旅客機の開発を進めている
三菱航空機は、アメリカのボーイング社との間で、
このほど、コンサルティングに関する契約を
締結しました。
きのう、三菱重工品川本社で行われた
三菱航空機の記者会見で発表が行われた
もので、これにより三菱航空機は、顧客への
アプローチの仕方や、機体納入後のメンテナンスや
部品供給の方法などのノウハウをボーイング社から
受けることが出来るようになります。
いずれ、強力なライバルとなる可能性のある
三菱航空機に、ボーイング社がなぜ支援を行うので
しょうか。
これについては、航空機用エンジンを除いて、
今や世界のトップレベルにある航空技術を持つ
三菱に対して、パートナーシップを継続することが、
将来的にも得策であるとボーイング社が判断したと
見る事ができます。
ボーイング社は、現在開発中の中型旅客機787の
一番重要な主翼の生産を三菱に任せています。
また、これより以前の旅客機生産でも重要な部分を
三菱に分担生産させており、いわば、三菱は
ボーイング社によって戦後の航空技術のノウハウを
学び、航空機生産技術を維持してきたのです。
一方、これとは逆の見方としては、将来的に
ボーイング社の戦略の中に組み込まれてしまう
恐れはないのかということです。
いずれにしても、三菱航空機はボーイング社の支援を
受けることによって、強力な味方を得たわけで、
今後、MRJの開発生産に一層の弾みがつくことに
なります。
会見の最後に、少し気になる質問をしてみました。
MRJという名称は、現在、中国が開発を進めている
同じタイプの旅客機ARJに名称がよく似ています。
将来、国際市場では紛らわしい名称として支障が
出ないとも限りません。
そこで、将来ともこのMRJの名称でいくのか、あるいは、
かつて三菱重工が開発したビジネスジェット「ダイヤモンド1」
の名称を引き継ぐつもりはないかと質問しました。
これに対して戸田社長は、「MRJは三菱一社で開発している
ものであり、我々自身覚悟を決めてこの名称にした。
名称をどうするか将来の課題としたいが、
MRJは三菱のジェットであり、みんなのジェットでもあると
お考えいただきたい」と述べました。
MRJは70席クラスと90席クラス、将来的には
100席クラスの機体の開発も視野に入れています。
70席は「ダイヤモンド7」、90席は「ダイヤモンド9」、
100席は「ダイヤモンド10」といった名称になるかどうか、
楽しみでもあります。