2008年02月18日
テネリフェ島の悪夢
北海道の新千歳空港で16日午前、
日航機が管制官の許可を得ずに離陸の
滑走を始め、着陸したばかりの別の旅客機に
接近し、緊急停止するという重大インシデントが
ありました。
トラブル発生時は雪で視界が500メートル程度
だったということです。
日航機は3年前にも新千歳空港で同様の
トラブルを起しています。
このトラブルで思い起こされるのは、
1977年3月27日、スペイン領カナリア諸島の
テネリフェ島にあるロス・ロデオス空港で起きた
パンナム機とKLM機の史上最悪の衝突事故です。
同じジャンボ機同士が滑走路上で衝突し、
双方の乗客乗員合わせて583人が死亡した
この事故は、いくつかの偶然が重なり合って
発生しました。
まず、両機とも最終目的地のグラン・カナリア島
ラス・パルマス空港がテロ情報のため閉鎖されてしまい、
ロス・ロデオス空港はダイバート(代替着陸)だったこと。
2つ目は、この空港は滑走路、誘導路ともに1本で、誘導路は
別の旅客機が多数臨時駐機しており、着陸した
パンナム機は滑走路を逆走して駐機場に移動しなければ
ならなかったこと。
3つ目に、これが誤認を招いた最初の原因のようですが、
パンナム機は4つある取付誘導路のうち、C3から駐機場へ
向かうよう指示されたのに、さらに先のC4の取付誘導路まで
滑走路を進んでいたことです。
(C3の誘導路を利用するには角度の関係で急転回しなければならず、
パンナム機のパイロットはジャンボ機では不可能と考えていた)
離陸しようとしていたKLM機は、管制塔からの管制承認を
離陸許可と勘違いしパンナム機がまだ滑走路上にいるにも
かかわらず離陸を開始、正面に突然現れたパンナム機の上に
覆い被さるように衝突しました。
パンナム機は急接近してくるKLM機に気付き、パワー全開で
急転回して回避しようとしましたが間に合わず、KLM機は
視界に突然現れたパンナム機に気付き、操縦桿をいっぱいに
引いて離陸しようとしましたが、わずかに避けきれませんでした。
事故発生当時は霧が発生し、視界が十分ではなかったことも
一因として挙げられます。
今回の新千歳空港でも視界は500メートルしかありませんでした。
日航機の場合はパイロットが管制官の指示を復唱していなかった
事実が明らかになっています。
これを行なっていれば、トラブルは避けられたかも知れません。
旅客機が超ハイテク機になり、出発前の機器のチェックは
搭載されているコンピューターが自動的に行なってくれ、
パイロットはそれを確認すればいいようになっています。
パイロットの会話(コミュニケーション)は、昔に比べ極端に
少なくなっていると言えます。
そこに落とし穴はないのか・・・・
反比例するハイテク機能と人間の判断能力。
今回のトラブルはそんなことを考えさせられます。