2007年01月11日

10番目のニュース

木曜日ジャムザワールドのヘッドラインニュース10番目のニュースは
今や希少なムービー用フィルムのニュースでした
「富士フィルムは、映画関係者およそ300人の要望を受けて、
シングル8・フィルムの販売をあと3年から5年続ける方針を
明らかにしました」という内容。
ニュースなぜなぜお姉さん、木次アナの疑問がムクムクと
湧き上がってきます。
「ホーム・ムービーってビデオじゃ無いんですか?」
家庭用動画撮影と来ればビデオしか思い浮かばないところは
番組若手スタッフも同じ。そこで8ミリフィルムを知らないあなたに

もしもあなたが8ミリフィルムを知らなかったら・・・・・・

家庭用ビデオカムを普及させたのはソニーがレコーダー一体型ビデオカメラ
ベータ・ムービーを83年に発売してからの事で、80年代以前は
家庭で動画を記録するといえば8ミリフィルムが当たり前でした。
古くは16ミリフィルムの真ん中をスパッと切って、半分にする8ミリフィルムを
ダブルエイト、として使っていました。16ミリで行きと帰り半分づつ撮影して
現像されると8ミリ幅で帰ってくるという、二重撮影の恐れのあるものでした。
16ミリフィルムはテレビのニュース取材や
ビデオ化前のテレビドラマの撮影などにも使われていました。(35ミリは
もともと映画用に開発されたものをドイツのライツさんが写真撮影に使ったら
これは便利ということで瞬く間に普及したものです)

まだ日本でそれほど8ミリが普及していなかった60年代後半、富士フィルムが
一層の8ミリ普及を狙って、新規格の8ミリフォーマットを開発しました。
それがシングル8です。
扇千景(おうぎちかげ)元・国交省大臣がまだ若かりし頃、(かなり昔)
CMで「私にも写せます」と、若干関西なまりで連呼したのを当時の日本人は
皆覚えています。
ダブルエイトと違ってカセット・ケースの中にリールを収め、フィルム交換を
簡単にした他、画像サイズも大きくし、市場からダブルエイトを駆逐しました。
数年後に録音・再生用カセットテープも登場。昭和40年代の初めの頃です。

プロが使う16ミリや35ミリは素人には無縁で、そのシングルエイトは
子供の運動会記録から、結婚式、学生映画や自主制作にまで映像記録に
欠かせない素材でした。
なのに、βムービー登場の翌年、8ミリ撮影用カメラの売り上げは激減し
一年間に全国で数台が販売されただけ、となって各社生産をやめました。

その場でモニターさえあれば簡単に再生できるビデオと違い
フィルムを現像してもらい、おうちに映写機とスクリーンがなければ
見られない、という致命的な弱点を持っていたのです。
でもフィルムの供給だけは細々と富士フィルムが続けています。

ウチにも修学旅行や、学生時代ドッキリを真似て作った作品フィルム群が
残っていますが、映写機は実家に眠ったまま。ビデオに変換するサービスも
あるにはありますが、結構高くつくものです。
カメラは今も手元にあるので、撮影、現像までは可能ですが
再生には実家の映写機を引っ張り出してくるか、他のメディアに移し替えるか

木次さん納得したでしょうか?
「で、フィルムとビデオってどう違うんですか?」

そうか、そうきたか。ビデオは映像を電気信号に置き換えて
テープに磁気の大小で記録する。フィルムは乳剤を光で化学変化
させて、現像により可視画像化して保存する。わかるかな?
つまりビデオのテープ表面をいくら見つめても画像は見えない代わりに
フィルムは現像しないと再生できない。ビデオは何度も消去、上書き
できる代わりにフィルムは一発勝負。

でも、ビデオで簡単に撮影してすぐ再生じゃ面白味がありません。
現像が上がって来るまでのドキドキがいいんですね。
旅行の後の写真現像も同じ。

「8ミリで撮ってあげるよ。出来上がったらウチに見においで」
ビデオでは真似できない口説き文句でしょ。
あと、ンッ10年若かったら女の子誘うのに使えた台詞なんだけど

| 22:50 | コメント(0) | カテゴリー:吉田雅彦

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