ネットでポチったりwebで新聞記事が読める時代、新規に本屋を開業してうまくいくのかは日本でも韓国でも同じ状況。
韓国でネット小説から火がついて紙の本でも大ヒットしたのが日韓で本屋大賞を受賞した「ヒュナム洞書店へようこそ」
女性店主が一人で町はずれに新規開店した休南(ヒュナム)洞書店、経営は軌道に乗るのか?どうしたらお客の目を惹く、足を運んでもらえる場所にできるのかの奮闘が始まります。
そんな努力がやがて新聞の取材に繋がり、ある作家との出会いがあって・・・・書店開業の成否と共に男女の付き合いも気になる展開は、就職、進学問題をはじめ韓国の様々な社会情勢を反映しながら、あっという間に分厚い本を最後まで読ませてしまいます。
本屋大賞で翻訳部門の栄冠に輝いたヒュンナム洞書店、日本語では多くがヒュナムと表記されているものの原題は休南洞なので、正しく訳すとヒュンナムが近いと思われます。しれはさておきGoogleマップでどこにあるのか探しました。
ありません、架空の書店だし同じ地名の場所はないようです。物語の設定ではソウルの住宅街、駅からはちょっと離れた場所にあるのがこの書店。脱サラの女性経営者が一人で立ち上げ、従業員としてバリスタの独身男性を雇っています。ということは固定給も支払わなければならず、なんとかして書店の経営を軌道に乗せたい、というのが最初の牽引力になります。
自分のチョイスで棚に本を揃える、買いに来たお客の需要に応えられる本を紹介する、それが店主の彼女ヨンジュの毎日。でも、本を読まない人が少なくない事情は日本も韓国も同様。
けれども書店を訪れる人の数は限られているし、書店お経営を安定させる第一歩は、まず読む人も読まない人も書店に向かわせること。来訪客のアップには何が必要か?ここからヒュンナムドン書店の挑戦が始まります。
何が始まるかはお読みいただいてからのお楽しみに。やがてSNSで評判となったこの書店に新聞社から取材申入れの連絡が入って・・・果たしてハッピーエンドになるのか?書店の男女二人の関係は???
実はこの物語、電子書籍として連載がスタートしあまりの人気に紙の本が上梓され、それが韓国版本屋大賞に輝く、というサクセスストーリーにつながります。日本の人口に換算すると50万部超のベストセラーに!
実は中盤で明らかにされることですが店主もバリスタも熾烈な韓国の競争社会の中で生き抜こうとしてきた、いわば元エリートコース(を歩むべく努力していた)のが、一流企業でもなく数年先の経営状況は「?」な小さな書店務めを生業としている・・・・・ここがヒュンナム(休南)のネーミングにも関係してきます。
私はwebを閲覧するようになったこの30年来、まだ熱帯雨林の名を冠した本屋を利用したためしがありません。そりゃ便利なことは認めます。でも、自分で書店に足を運ぶことくらい、不在の家を何度も訪問するお兄さんの苦労を考えれば屁でもありません。書店の中にある検索機は愛用してます。
書店を比べているうちに、その店の顔のようなものが段々見えてきたような気がして目的別に書店を選んでいます。羽田第2ターミナルのTSUTAYAはいつでも着席できるので大のお気に入りです。
実はこのヒュナム洞によく似たコンセプトの書店を見つけました。三茶の駅からはバス停一つか二つ分離れている上に店舗は2、3階。通りすがりのお客はまずきません。でも、とっても気になっている書店です。ひょっとしたらこの小説をヒントに回転したのかな?と勘ぐったりもします。