2023年09月14日
rotary again
「マツダ」のロータリーエンジンが復活します。モーターを動かす発電用としてプラグインハイブリッド車「MX-30」に搭載され、
国内販売が始まります。
マツダが11年ぶりに国内で販売を始めるプラグインハイブリッドは、発電用ロータリーエンジンを搭載した車ですべてモーターで走行します。
ロータリーエンジン、登場当初は夢のエンジンでした。従来のピストン往復エンジンよりも小型で滑らかでしかも重量あたりのパワーが大きいのが特色。
おむすび型のぴすとん(ローター)が繭の形をしたシリンダー内を円運動(正確にいうと偏心回転)しながらおむすびの3辺でそれぞれ圧縮や爆発の行程が繰り返され
ローターが一回転する間に爆発は3回起こる、というものです。開発には圧縮もれとシリンダーの傷を防ぐための血の滲むような開発がくり返されました。
開発、量産に成功した当時のマツダは全乗用車にロータリーを搭載するべく、ロータリー化を推し進めていきました。
第一弾のスポーツカー=コスモに続き大衆的なクーペ、ファミリアやカペラ、ルーチェといったセダンにまでロータリー搭載車を増やします。
迫り来る公害対策問題もロータリーの援軍でした。燃え残りの排気ガスを再燃焼することでクリーンな排気ガスにしてしまうAPは規制適合第一号の栄誉も担っています。
マツダだけでなく、ベンツも日産もロータリー搭載車を開発し、市販化を目論みました。しかし実現したのは二輪車のスズキ1社のみ。
しかも、マツダの目論見はオイルショックという未曾有のクライシスの前に、会社を経営危機にまで追い込んでしまうのです。
ロータリーは高性能であるけれども、燃費が悪い。が定説となってたちまち人気の対米輸出では在庫の山を築き上げてしまいます。
ファミリアもカペラも次期モデルにロータリー搭載の予定はありませんでした。銀行から新たな経営陣を迎え、さいけんを図るマツダにとってロータリーは高性能車にのみ許される伝家の宝刀となります。
前輪駆動に生まれ変わった赤いファミリアが一時的にカローラを抜いてベストセラーカーに躍り出た後、ロータリーに特化したスポーツカー、RXー7は3台にわたって人気スポーツカーのリストに名を連ねました。
が、その後を継ぐ4ドアのRXー8とともに、ロータリーエンジン搭載車は静かに退場。表舞台からは一旦消えてしまいます。
マツダの車内ではエンジン生産こそ中断されましたが、メンテナンス用の部品作りは継続。技術者も絶やしてしまっては技術の継承がままなりません。
水素ロータリーや数々の試作車を開発した後、ついにロータリーの火が市販車として陽の目を見る日がやってきたのです。
燃費が悪い、というデメリットは一定回転数で効率よく回すことで回避。あとは小型で高出力、振動も抑えられると、メリットばかりです。
黒子に徹したロータリー搭載車はその独特の加速フィーリングや天井知らずの高回転を満喫するわけにはいきませんが、エンジン生産が軌道に乗ればもしかして・・・・
2020年代ハイブリッドはロータリー、の時代がやってくるかどうか?
期待と注目の一台になりそうです。