2021年06月19日

シアワセ?の終焉

そういえばホンダのオデッセイ、最近見かけなくなったなあ
と思ったら今週のヘッドラインニュースでも放送されたとおり、年内を持って生産終了と報じられました。やはりそうなのか?
一時期はミニバンといえばオデッセイというくらい一世を風靡したあの人気車種も、こんな時を迎えるとは・・・・

決してミニバン人気そのものに翳りが生じたわけではありません。ホンダにはステップ・ワゴンやN-BOXという人気車種が健在ですし、街中で見かける黒いミニバンの大抵はアルファードかヴォクシー/ノア・日産セレナのどれかだったりします。じゃあ何故オデッセイは繁殖しなかった?

実はここに日本のマーケットの特異さが見て取れるのです。
ミニバン,と一口に言っても大まかに言えばワンボックス由来のミニバンとワゴンから派生の背の高いワゴンと二つに分けることができます。

オデッセイにしろマツダのプレマシーにしろ、日産のプレーリー、ラフェスタにしろ、トヨタ・マークⅡジオ,OPAにしろ・・・・・少し背の高いワゴン、いや低めのミニバンたちはことごとく姿を消してしまいます。ほかにも枚挙に暇が無いほどのミニバンたちが自動車マーケットの栄枯盛衰を物語っては消えてゆきました。

でも、オデッセイ誕生当時は最初から大歓迎で市場に受け入れられたのです。もちろん当時もワンボックスの背の高いハイエースやデリカは存在していました。が、オデッセイはそれほど背が高くは無くミニバン初心者にとっては超えやすい壁だったのかもしれません。

乗用車のワゴン同様,後方に広く開くフツーのプラグドアを採用していたことも然り、アコードワゴンからの乗り換えも抵抗無く受け入れた敷居の低さもこのときには幸いしたようです。トヨタのイプサムが僅差でこれに続き、日本はやがてミニバンに埋め尽くされる運命となったのです。

日産エルグランドのヒットで,背の高い威圧的なワンボックスにも日本人は抵抗しないことがわかると,アルファードやセレナ、ボンゴ、ノアといったワンボックス由来の背の高いワゴンも軒並み前輪駆動を採用した上、ミニバン市場の中核を占めるようになります。
それはホンダ社内でも同様で,5ナンバー枠に収められたストリームや背の高いステップワゴンの成功がオデッセイの存在感を薄めてしまったことは否定できないでしょう。そもそも、オデッセイの車高は生産設備での寸法上の制限から否応なしにあの高さに決まったもので、今となってはそれが、人気を奪われる一因となっているのが皮肉です。

オデッセイの登場当時,CMコピーに採用された「シアワセ?」のフレーズは程なく起こった大震災のため差し替えられてしまいましたが、ファミリーカーのシアワセ像を作り出した功績は忘れ去られることは・・・・・無い!とは言い切れませんが,オデッセイの復活は,まあ無いでしょう・・・

| 15:03 | コメント(0) | カテゴリー:吉田雅彦

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