2021年05月13日
凄いぞ!VESPA
映画ローマの休日ではヘップバーンとともにローマの町を駆け抜けたイタリア製国民的人気のスクーター,ベスパがこのほど生産累計1900万台を記録しました!最新型のVベルト変速機を備えた300も含めてのカウントですが、その大部分は日本のスーパー・カブより一昔も前に生産開始されたオリジナル・デザインがベース。
まだ無段変速機が開発される前の時代なので,シフト・チェンジもクラッチも必要で,左手でクラッチ・レバーを握りながら,左グリップをまわしてギアを変速する、独特の運転操作。リアブレーキペダルは床から生えています。
エンジンと変速機は一体化されてそのままリア・タイヤの横っ腹に直結。バネ下重量は増えてしまいますが、チェーン不要の足回りは信頼性絶大。そしてボディの大部分を鉄板プレス部品で構成したことも、大量生産、コストダウンに大きく寄与したはずです。
こうしたアイディアは,実は日本車にも多く取り入れられていて,たとえばスーパーカブなどはボディ後半ばかりか前輪フォーク、リア足回りなどにもプレス部品を多用して生産性をあげています。またロードパルに採用された足回りと一体型のエンジン、伝達機構はこれもベスパの薫陶を大きく受けていると思われるものです。
そして何よりもヤマハ・VINOをはじめとして,数多くの日本製ヴェスパ風デザインを生んだことからも分かるとおり、そのスタイリングはスクーター・デザインの定番ともいえるもので、ホンダ製となったVINOにも、その血脈が感じられます。モッズというファッション・スタイルもヴェスパなかりせば、また違ったものになったでしょう・・・・
ヴぇスパのもうひとつの大きな魅力が前後輪ともに片もち式のホイールで支えられていること。パンクしても、ボルトの脱着で容易にスペアタイヤと交換できる・・・・バイクなのにスペアタイヤを背負った(抱えた)スタイルはヴェスパならではのもの。これを理由にヴェスパ購入を検討したひとの中には私も含まれています。
もはや左手シフト車は無くなって、さすがにウィンカーなしの初期型デザインで町を流すことは出来ませんが、今でも世界中にファンを増やし続けているヴぇスパ。スクーターの王道を行く、だけでなくトレンドセッター、文化の発信源としても今後の活躍に期待したいところです。
ガソリンエンジンの時代が仮に終わる時が来ても、きっとこのデザインは不滅でしょう・・・・・