2021年03月08日
「江戸東京野菜の物語」
まだ地方の大名達が参勤交代を繰り返していた頃には江戸の土産として特に喜ばれたのが野菜の種でした。種屋街道と呼ばれるエリアもあって人気の種を故郷に持ち帰り江戸ブランドの野菜を育てたそうです。
そもそも江戸では公共工事の為に各地から労働力としての流入者がたくさんいて、各自ふるさとの自慢の食物を栽培して江戸に根付いたものが江戸野菜🥬、それが評判となれば全国に持ち帰られ、・・・・戦前まではそうした江戸の東京野菜が多く栽培されていました、が宅地化が進むと農家は激減し、江戸東京野菜の血筋も絶えてしまいます。そんな野菜を復活させようとひとりのJA職員が立ち上がりました。
表題の本はそんな江戸東京野菜を復活させた物語。練馬大根も江戸東京野菜の筆頭ですが他にも全国で生き延びた末裔がたくさん。でも、見つけたタネを撒けばそれで復活、と言うほど話は簡単ではありません。
町おこしのキーワードにも江戸東京野菜が取り入れられるようになり学校教育の一環として小学校で栽培される例も珍しくはありません。自ら育てた野菜を学校給食で戴く事も貴重な体験学習です。
読み終えるとどの野菜も産地で手間暇かけて育てられ店頭に並んだ尊さに目がいってしまいます。今夜は野菜炒めにしようか?それとも煮物にしようか?野菜の魅力を改めて味わいたくなる一冊でした。