2020年06月01日
space-x
アメリカの有人宇宙船=クルー・ドラゴンを搭載したロケット=ファルコン⑨が、日本時間の今日未明打ち上げに成功しました。
テーマパークのユニフォームみたいなスペース・スーツに身を包んだ二人の宇宙飛行士は、まるでアメリカのローカル空港での国内便出発のような見送りを受けた後、テスラの電気自動車モデルXで発射台に向かいます。
最後のスペースシャトル、STS-135から九年余。有人宇宙ロケットとしては70年代のアポロ計画以来となるものでした。フロリダのケネディー宇宙センター発射台39Aにセットされる白いスマートなロケットはロシア製ソユーズ・ロケットのように寝かされた状態で運ばれてきて、発射台で垂直に起こされます。
打ち上げから30秒で時速300kmというフェラーリ並みの加速スピードで宇宙空間を目指します。発射後160秒、高度100km近くで1段目が切り離されると、青い大気圏と漆黒の宇宙空間の境目が見え、地平線が丸いのがはっきりと分ります。
1段目の燃え殻はそのまま大西洋に向けてスポイラーと着陸脚を展開し、逆噴射をかけながらサンダーバード1,3号のように大西洋上のリグに垂直に帰還します。モニターでこの様子を確認した搭乗員もコクピットでガッツポーズ!
二段目のエンジンが燃焼を終わるころ、高度は地上300km以上に達し、あとはISS=国際宇宙ステーションとのランデブー地点に向けて軌道修正を繰り返し、速度を調整します。宇宙まで10分とちょっと、飛行機なら相模湾上空で水平飛行の感覚です。
ローンチパッド39Aから人間を乗せた民間機が発射されるのはこれが初めて、とは言ってもアポロ司令船だって受注を受けたノース・アメリカン・ロックウェルが開発・製造したもの。
違いといえば無尽蔵の政府予算か民間のコスト計算がベースか、といったところ。1段目ロケットを回収して再利用するというエコ思想は21世紀ならではのもの。音頭取りはテスラの創業者イーロン・マスクですが今回は彼の野望のあくまでも第一歩、何百万という人々を他の惑星に運ぶという壮大な計画の第一歩に過ぎないのです。
今回は実践的なテストの位置付けで本格運用は次のフライト、90日後に野口聡一宇宙飛行士が「クルー・ドラゴン」の運用初号機に搭乗して国際宇宙ステーションに向かうことになっています。