2019年02月23日
firstmanonthemoon
はやぶさ2の成果に沸く中、映画ファーストマンは満席の盛況ぶりでした・・・
ボーイングの大型爆撃機にぶら下げられた超音速試験機X-15は高高度で切り離されロケットエンジンに点火、地上14万フィートまで上昇を続ける。ラジオのニュースで聞いた覚えがあるこのフライトの様子をリアルに描いて始まるのがファーストマンの冒頭。音速の3.5倍,Gフォースは3倍から4倍、コクピットの外には半分以上漆黒の闇の成層圏より上の宇宙空間が広がっている・・・・・・・
操縦席のニールアームストロング(ライアン・ゴズリング)は機体を降下させるべく操縦桿を倒すが反応しない!高度は異常な上昇に転じている。このままでは地上に帰還できない・・・・・・
どんなパニックに陥っても沈着冷静に対処する米海軍出身のテストパイロットに、やがて人類史上初の月着陸ミッションが命ぜられたのは当然の帰結だったかもしれない。でも、家族はそれをどう受け止めて、彼を月へと送り出したのか
月面着陸に向けての準備は60年代のアメリカの一面を象徴するニュースでもあって、二人乗り実験機ジェミニの飛行では軌道上でのランデブー飛行、ドッキング、EVA(船外活動)とアポロミッションに不可欠なさまざまなノウハウが相次いで成功を収めてゆく。こうしたミッションは日本のニュースでも大きく取り上げられ、ランデブーとかドッキングという言葉が俄かに流行し始めた。
もちろんストーリーの中では地上訓練中、火災事故で失われたアポロ1号と3人の月着陸船クルーの悲劇も避けては通れない。宇宙開発競争はソ連との戦いであった一方で、予算獲得という争いにも加わらなければならなかった。
映画ではこうした側面も逃さず描きながら、圧巻はやっぱり月面着陸までのシークエンス。巨大なサターン5型ロケットに乗り込むところから月着陸船イーグルを切り離して、月面までのアプローチ、そして巨大なクレーターを避けながらやり直しのきかないギリギリの燃料で着陸を成功させるまでのコクピットと窓外に広がる月の表面。
何年か前にNASAとアポロ宇宙船の交信記録が公開されましたが、宇宙や未来への期待が大きく広がっていたあの頃、はやぶさ2のニュースはあの頃の興奮をホンのちょっとだけ思い出させてくれました。