2018年07月21日
闘うものたち
「空飛ぶタイヤ」は実際に社会や自動車業界を揺るがした実在の車輪脱落事故がモデルの池井戸潤作品です。財閥系大手自動車会社を相手に80人の従業員を守るため、企業責任を立証しようとする二代目社長を熱演しているのが、お正月CMで写真店の店長だった長瀬智也。
ディーンフジオカや岸部一徳といったバイプレーヤーも加わって、実に噛み応えのある作品にしています。寺脇康文のはじけた演技もとっても印象的ですが、クライマックスの重要なキーマンでもあります。
物語の結末は昔ニュースで見た通りですが、そこに至る若社長の孤軍奮闘ぶり、池井戸作品お得意の銀行取引も交えてドラマチックに描いてゆきます。林民夫の脚本も飽くことなく巧みなリズムでぐいぐい引き込んでくれますが、なんといっても編集の巧みさがサスペンスタッチのドラマを一層盛り上げてくれます。
組織が巨大化すると内包する問題も様々に膨らんでゆきます。そして内部にも芽生える正義、それを阻もうとする派閥やメンツとのせめぎあい、企業ドラマとしても見ごたえ充分な内容は池井戸作品ならではのもの。これは、この半年間に観た日本映画の中でも一番の完成度ではありませんか!
サザンの書き下ろしたテーマ曲「闘う戦士(もの)たちへ愛を込めて」もその歌詞が改めて心にササってくるような・・・・鑑賞後にスッキリとした切れ味が感じられるコクのある旨いビール・・・・・と言ったら解ってもらえるでしょうか??