2017年12月19日
陽はまた昇る
森繁久彌の時代にロングラン公演で有名だったミュージカル、屋根の上のバイオリン弾き。いま市村正親の主演で上演中です。相手役は鳳蘭、この役をかつては越路吹雪が演じていたそうです。
日本でもすっかりお馴染みのこのミュージカル、森繁さんの舞台は見る機会を逸しましたが、ようやく鑑賞出来ました。舞台は大戦目前のウクライナ、キエフの近く。ユダヤ人家族を中心に話が展開します。次女を演じるのは神田沙也加、アナと雪の女王でもすっかりお馴染み。歌と演技の実力は今やミュージカル界にあって不可欠の存在と言ってもいいでしょう。
古いしきたりや宗教観とのせめぎ合い、そしてじわじわと忍び寄るユダヤ人迫害の足音。物語の前半、クライマックスを飾るのが一番上の娘の結婚式で流れるテーマ曲、サンライズ・サンセット、日本初演当時にもよくオンエアされていた記憶があります。どこか哀愁をおびた短調のメロディーが、後半で家族に襲いかかる困難を暗示しているのでしょうか?
タイトルのバイオリン弾きとはユダヤ人を比喩したもので屋根の上は不安定な場所の喩え。舞台には当のバイオリン弾きも登場しますがセリフはありません。ストーリーの最後家族は何処に向かうのか?それを暗示するのもテーマ曲のSUNRISESUNSET〜日はまた昇る〜なのです。