2016年11月07日
ハートはドイツ譲り
川崎航空機製3式戦闘機・飛燕に搭載されたエンジンはダイムラーベンツのライセンス下で作られた直噴燃料噴射・液冷機械式スーパーチャージド倒立V型12気筒34リッター、戦時下とはいえ1940年代、既にこれだけのスペックが並んでいたとは驚きです。付け加えるとしたら可変バルブタイミングやスロットルバイワイアくらいのものでしょうか。現代でいうならばダイムラー製 直列2.0リッター直噴ターボエンジン搭載のスカイラインGTの2リッター・ターボ200GT-tといったところでしょうか?内燃機関の進歩って意外と早く進んでいたんですね、それに比べたら国際紛争の解決法なんて未だに大して進歩していないのかもしれません。
確かにゼロ戦の空冷エンジンに比べれば重く大きくなりますが、冷却性能はこちらに軍配。さらにP51ムスタング同様・過給器付きとなればラジエーターは必須です。そのために主翼下には冷却器を収める膨らみとエアインテークが備わります。
カタツムリ型のコンプレッサーは今の時代に比べるとズングリした扁平型の比較的大きな二段型。10万回転ともいわれる現代のターボに比べたら軸受の潤滑など、それほど高回転向きには作られていなかったはずで、低回転でも過給気を送り込めるよう大型になったものと推察されます。今の時代だったら即ツインターボでしょうね、
・・・今更レシプロエンジンで戦闘機でもありませんが
この戦争あたりを境に航空機エンジンはターボジェットの時代へと大きく変化します。川重でも試作段階にあったジェット・エンジンを胴体下につりさげて試験運転が行われていました。現在ではB787にも採用されるRRトレントエンジンの第二段コンプレッサーの製造、納入を川重が担当しています。787のエンジンにも1940年代から引き継がれているタービン・コンプレッサー技術が息づいている、と言う訳です