2016年10月21日
朝ワイド制作部
沖合にある壱岐の小島を目指して玄界灘へと漕ぎ出した小さな漁船は高さ4mほどもある大きなうねりに翻弄され、取材スタッフたちは皆グロッキー気味、ヘリコプターをチャーターするには30万円以上の経費と4時間ほどの準備時間が必要と聞いて仕方なく博多にいた漁船をチャーターして小島を目指したのでした。すると、本社から船舶電話経由で連絡が入り、海外で大地震発生のためすぐに全員帰社せよとの一報。もう島影は目前!折り返してつらい航路をもう一度味わうか?それとも・・・・
ワイドショーの制作現場ではこんな光景も珍しいことではありません。もっと理不尽とも思えることが毎日のように転がっているもの、でも止められないんです。テレビ馬鹿たちにとっては・・・・・そんな、テレビのワイド番組の現場をかなり綿密に取材して映画にしたのが踊る大捜査線でおなじみの君塚良一の脚本、監督による映画「グッドモーニングショー」です。改変期で打ち切りが決まった落ち目のワイドショーMCを中井貴一が演じ、サブには長澤まさみ、志田未来が華を添えます。
生放送中のスタジオと同時刻に発生した立てこもり事件の現場が物語の舞台、なんとも安上がりな映画です。けれども刻々と変化する状況に何故かドキドキさせられるのは、現場のあの緊張感を思い出したからのことでしょうか。製作現場のエピソードも思い当たるものばかり...
この映画がロングラン興行となるか、早々に打ち切りとなるかは犯人との交渉シーンの評価次第。複数の結末を用意しておいて、見る回によって全然違う映画・・というのもワイドショー的で面白かったかもしれません。
dボタンを使わせる突拍子もないオチの手段は兎も角として、犯人役もしっかりこなせる濱田岳が吐き棄てるテレビなんてクソだ、の台詞と中井貴一のそれでも好きなんだよ、のセリフ。それに志田未来の女子アナがあまりに実在の人物に似過ぎていたところが妙にリアルに感じられました。(感想には個人差があります)
・・・・結局フラフラになって壱岐の小島にたどり着いたわれら番組スタッフは皆で頑張ってお昼ご飯を胃袋に押し込み、島の空港から色の褪せたYS11に乗って帰路に就いたのでした。