2016年08月02日
初の対戦相手は
もはやハイブリッド開発競争でも販売合戦でも、F1参戦においてもライバル関係のホンダとトヨタ、燃料電池車の量産においてもミライが量産車初の売り切り市販車ならばクラリティは最初にモデルチェンジした燃料電池車の第二世代。ではサーキットで戦ったらトヨタとホンダどっちが勝つの?
そんな興味深い対決がこのほどツインリンク茂木で実現しました。ホンダが用意した車両は取材で使われるノーマルの広報車、対するトヨタ・ミライはオーナーカーで改造車。
まったく互角の対決というわけではありませんが、それぞれがどんなポテンシャルを見せてくれるのか興味深い対決です。公式予選、最速タイムはトヨタ・ミライが2分52秒台、ノーマルのHondaはそこから5秒半ほどリードされた格好です。
念のため、ミライは全日本ラリー選手権出場も視野にロールバー装備やレーシングシート装着、
ドライバーはミライが自動車ジャーナリストの国沢さん、ホンダは同じく菰田(こもだ)さん。いずれもテクニックと知識の豊富なベテランです。
ミライの場合は一定以上の負荷がかかった場合、セーフモードに入り出力が制限される仕組みになります。Hondaの場合は今回のレースで確かめてみないとわかりません。性能面はモーターの出力でミライの最大トルクが1割ほど上回っており、予選時「コーナーで置いて行かれた」の証言を裏付けています。
アクセルべた踏みすれば最高出力までエンジンがブン回るガソリンエンジンと違って燃料電池の場合は燃料電池セル(発電機のようなもの)で電気を作っていったんリチウムイオン電池に蓄えた後、モーターに出力されます。つまりこの燃料電池スタックの発電能力が車の性能を左右するとともに、その時のリチウムイオン電池の容量が多いか少ないかもモーター出力に影響します。
話がややこしいですが、ガソリン車ほど簡単ではない、という話。ドライバーにはこのあたりのメカニズムを熟知したうえで電池をうまく消費するような走行テクニックが求められます。
新型クラリティのぶっつけ本番決勝レースでわかったことは、アクセル全開でコーナー直前まで引っ張るよりも、余裕を持たせて減速時に多めに電池に回生の仕事をさせるよう、うまくエネルギーコントロールさせるとタイムで2秒ほどアップさせる事ができた、という貴重なデータ。参戦初優勝という輝かしい戦果こそ挙られませんでしたが、勝った負けたよりも、何が性能アップにつながるか...レース参戦の最も大きな意義がこれです。
ピットガレージのお隣ではエンジン調整中のおなじみの6気筒のマシンが大爆音・・・・・おかげで広報ビデオの収録も滞りがち・・・・な光景も見られましたが、そんな今迄の光景が昔話のように感じられた未来型のレースでした。
ホンダの皆さん、お疲れ様でした。負けは残念ですが楽しいレース・ディでした