2016年05月27日
Kübelwagen
(静岡)ホビーショーには実物の車両も展示されます.ほぼ常連の自衛隊用車両、他にもランボルギーニやイタリアンスーパーカーが顔を見せてくれます.今回はVWビートルの遠い親戚、Kübelwagen(キューベル・ワーゲン)が顔を見せました.実物を見るのはごく稀なチャンス、天才外科医・ブラックジャックが愛用していたクルマがこれです。
市民の為に量産される計画だったVWかぶと虫よりも先に軍用車両として鋼のバケツみたいな車体を持つVW Typ 82が生産されました。四枚のドアを持ち屋根はキャンバス地でオープンエアドライブも可能,実物を目の当たりにすると思った以上に大きく見え,とても1000cc足らずの排気量とは思えません。このクルマを土台に水陸両用車,Volkswagen Type 166 Schwimmwagenも開発されました.四輪駆動で水中(水面上)用にはスクリューも駆動できる様になっています。
戦争が無ければ、あるいはこの世に生まれることが無かったかもしれない軍用車。核兵器だって同様かもしれません。
きょう5月27日、アメリカの現職大統領として戦後生まれのオバマ大統領が広島、平和公園を訪れ、花を捧げて犠牲者に黙祷しました。原爆投下を人類で初めて実施した国の代表として、広島の地を踏むことにどれほどの勇気が必要だったか、それを実行に移した決断は、是非とも讃えてあげたいと思います。
17分間にも及んだスピーチの中で、ヒバクシャという日本語を使い,犠牲者への思い,科学の進歩の良し悪し,核兵器不拡散に向けた考えなどを、原爆資料館見学に要した以上の時間を費やして世界に向けて発信しました。一般論や概念的な言い回しも多く、原爆投下に関する謝罪の言葉はやはりありませんでしたが、アメリカを代表する立場にあって、しかも現職大統領として慎重に考え抜いた表現を選びながら、核兵器を使うことの罪深さを遠まわしに訴えていたようにも聞こえます。
自動運転車の開発で事故を減らすことも,原子爆弾を開発するのも同じ人間の業。核の抑止力を肯定することなく、戦争全般に対してこれを否定し、広島が被爆地としてでなく、新たな人道的概念の発信地となることをアピールしてスピーチを締めくくりました。被爆者の念願だった直接対話も実現し、大統領の顔には笑みも浮かぶ瞬間がありました。きょうこの時間は広島・長崎ではじめて兵器としての原爆が炸裂したあの日以来、次の歴史的瞬間なのかもしれません。果たして,この日の成果が核軍縮という具体的な形となって実現するかどうか,これから政権を担う人たちにも深く考え直してほしいものです。