2015年10月08日
近未来を予見していた?
東野圭吾原作の「天空の蜂」は1995年に発表されたSF小説,まだまだまだ高速増殖炉「もんじゅ」のナトリウム漏れ事故(発売の翌月)も,原発の全面稼働中止も緊急節電も現実離れした遠い絵空事だった頃のこと。
堤幸彦監督作品『天空の蜂』が公開されているいまとなっては,国内原発の全停止も高速増殖炉の哀れな末路も実際に経験したこととして、リアリティをもって語られます。
どこから見ても「もんじゅ」にそっくりな福井県内の高速増殖原型炉の上空でホバリングを続ける巨大な自衛隊の輸送ヘリコプター。(錦重工CH50=モデルは三菱MH53)
操縦席には誰もいません。燃料が途切れたら真下に待ち受けるのは稼働中のプルトニウム原子炉です。
20年前の小説がCG技術の進化で,架空の超大型ヘリを画像化できたことよりも,原子力行政をはじめとして原子炉稼働をめぐる社会的な是非論が切実な現実問題として語られる様になった現代、ようやくこの小説が訴えるテーマが現実味を帯びて来たと云えるでしょう
主演の江口洋介、本木雅弘の熱演も物語のスケールにふさわしく,原作が織田裕二主演で映画化された真保 裕一の「ホワイトアウト」とは吉川英治新人文学賞を争ったライバル関係にあったことも見逃せない事実・・・・(オマケにどちらも電源関連ネタ・・・・)
上映時間が少しも長く感じない演出力はさすがです!