2013年05月01日
GPSの罠
TBS製作の「図書館戦争」と日テレ製作の「藁の楯」
どちらも人気小説を映画化した現在公開中の娯楽大作。しかも
物語の展開上、重要な鍵を握るのがGPSシステムという設定も
不思議な一致です。
ただし,原作者の認識不足か,どちらもGPSを正しく理解していない様子です
ちょっとおさらいしておくとGPS信号は地球周回軌道上の衛星から
送られて来る、とっても波長の短い電波。携帯みたいな長さのアンテナは
必要としない代わりに,光と同様に直進性が強く,物陰に隠れたらアウト
地下室や建物の中,分厚い新幹線の窓ガラスを通過するのも極めて困難です。
(可搬型を除くカーナビの大半は車速とジャイロセンサーから得た加速度を
積分して現在の移動速度、方向を推定し、さらに積分して移動距離を求めます
衛星電波のギャップをこれらで補正するのでトンネル内でも位置表示可能です)
どちらの映画もGPSで居場所が判明する設定のシーンが出て来ますが、立川の
大型店舗内部でも,走行中の新幹線の車内でもGPS電波を連続して受信するのは
無理な相談.しかもどちらの作品でも受信した位置データを外部に送信している
設定となっています.これがまた困難な設定.仮に携帯電話経由で発信が出来た
と仮定しても,受信した位置データをどうやって携帯まで無線で送信するのか?
その為の電源は?アンテナは?手首に埋め込んだマイクロチップに、
どうやってGPS受信用/電波発信用の電源を供給(充電)出来る?
いずれもきょう現在の技術では実現不可能なファンクションですが
フィクションが前提の映画だから大目に見て見ぬ振りをしておきましょう
どちらの作品も労力と予算を惜しまずに作られたダイナミックな
エンターテイメント映画です。正化31年(西暦2019)には
それくらい実現可能な世の中になっている事を想像しましょう。
同じ有川浩の原作で関西テレビ制作の『阪急電車片道15分の奇跡』第二弾が
(高知)『県庁おもてなし課」(脚本・岡田惠和/監督の三宅喜重も前作同様)
高知県のPR映画だと思うのは間違い.自転車を人並みはずれて速く漕ぐ
県庁の臨時職員ながら、細かい気配りと洞察力に長けた役どころ、
全篇ほぼ出ずっぱりの堀北真希のアップが何よりも魅力と心得て鑑賞すべきだ。
「ちょんまげプリン」の錦戸亮(関ジャニ∞)が好きならば、それも可
船越栄一郎演じる中高年もだんだん父親(船越英二)の威厳が
重なって見えて来る様になった。壮健美茶のCMデビューが金のたまごと
話題になった関めぐみが共演、しかめっ面が異様に妖艶でハマり役
でも堀北のキャスティングが全て。
これが無いとこの映画の魅力は半減してしまう、図書館戦争とは対局の
ゆる〜いストーリー。肩に力を入れないで、の〜ンびり見られるので
三本目に見るには最適な作品かも。
それにしても有川浩の引き出しの豊富な事・・・
高知出身で、実際に観光大使も務めていたんだ・・・・
ある意味インサイドストーリー的な視点かも・・
(東宝系で現在公開中)