2012年08月05日
オスプレイの憂鬱(その10)
アメリカを訪問した森本防衛大臣が、日本時間の
4日未明、ワシントン郊外でティルトローター輸送機
MV-22オスプレイの試乗を行いました。
森本防衛大臣が自ら希望し試乗が実現したもので、
アメリカ国防総省とバージニア州のクアンティコ海兵隊
基地の間を、およそ2時間かけて往復しました。
試乗を終えた森本防衛大臣は、「想像以上に飛行が
安定していた。騒音もそれほど大きいという印象は
受けなかった」と記者団に述べています。
この試乗会には、日本からの同行記者も何人か搭乗
していたようですが(テレビ映像からそう思っただけで
確認していません。あしからず)
そうした記者の印象はどうだったのか、是非、リポートを
発表して欲しいものです。
特に、ヘリコプターモードから飛行機モードに移行した
時の体感はどうだったのか、逆に、飛行機モードから
ヘリコプターモードへの移行はどうだったのか客観的な
立場からの印象を詳細リポートして欲しいものです。
オスプレイは、モード変換時にヘリコプターでもなければ
飛行機でもない状態を一瞬ではありますが通過します。
もちろん、この変換動作は連続的に行われるもので、
左右2つのローターから生み出される強力な上昇パワー
(浮力)によって問題なく移行が行われるようですが、
一方では、この際に数百メートル下降するような証言も
あります。
果たして事実はどうなのか、近く公表されるであろう2件
の事故の調査結果と安全性の確認を踏まえて、今後、
試験飛行が行われる場合は、その飛行の模様を詳細に
報道公開し、安全性への懸念を取り除く努力が必要なの
ではないでしょうか。
これまでテレビで幾度となく流されている、機体を左右に
揺らしながら地面に激突するオスプレイの映像は、開発
段階での配線の接続ミスによる人為的な事故で、危険性
の本質とは異質なものです。
いま必要なのは、オスプレイの危険性を感情論で糾弾する
のではなく、技術的な観点から客観的なデータを積み重ねる
ことなのだと思います。
森本防衛大臣の「未知との遭遇」によって、日本人のオスプレイ
に対する危険性が払拭されるものではありませんが、
少なくとも、未知なるものへの無意味な恐怖心からの決別に
はなったのではないでしょうか。