2012年06月30日
ヒューマンエラーvsプログラムミス
アメリカフロリダ州で墜落した米空軍の
CV22オスプレイ事故、沖縄に配備予定の
MV22海兵隊仕様とは基本的に同じ構造です
詳細な墜落原因はまだわかりませんが
おそらく巡航中ではない、地上付近での
姿勢制御に起因する事故ではなかったかと
想像します。
正式発表があるまでは推測の域を出ません。が、
VTOLとSTOLのいいとこ取りを目指したオスプレイは
今までに無い操縦系統、ノウハウを持ちます。つまり
この機体の操縦に熟練したパイロットはまだごくわずか
コクピットを覗いてみるとごく普通のプロペラ機のような
操縦桿と出力レバーが目に入ります。実はこれらの
レバーは機械的には操作系と繋がっておらず、ただ
信号を送るための電気スイッチに過ぎません。
実際の操作はこのレバーからの情報とジャイロセンサーが
測定した機体の姿勢を元に演算処理され最適な操作量を
出力します。・・・・たとえば、大きく機体が右に傾いたとして
パイロットは機体に左向きのロールを与えるべく操縦桿を
左に倒します、今までの飛行機や回転翼機と違って
オスプレイは左右のプロペラピッチに差をつけて
推力の差を与えて左に復元させるべく操作が実行されます
パイロットは復元してゆく機体の傾きを五感で感じ取りながら
復元ロール角を小さくするべく左に倒した操縦桿を少しずつ
中立に戻してゆきます。操縦桿を動かした変位量と、
姿勢変化のスピードの変化量を感じ取りながら、再び
操縦桿の位置を適正に動かして、思い通りのロール角に
するべく、操縦桿をコントロールするはずです。無意識のうちに
細かい微調整を何度も繰り返す、これが名人技とも例えられる
プロのワザ・・・でしょうか
オスプレイの場合パイロットの操作と実際の操舵との間に
センシングと演算結果が介入することになるわけです。両者の
出力結果が同じならば良いとして、相反する答えが出てしまったら
ここで思い出されるのが1994年に中華航空機が名古屋空港で
引き起こした失速事故のケースです。
オートパイロットのGoAroundモードを解除しないまま
パイロットが操縦桿を押し続けたために、昇降舵が
上昇方向に動き続け、挙句の果てに失速警報が
コクピットに鳴り響くなか、空港内の敷地目指して
急激に落下していったあの事故です。原因はどうやら
オートパイロットの操作を習熟していないパイロットの
エラーということで片付けられようとしていますが、
それだけで済まされないのは明白
オートパイロットの解除を忘れ必死に操縦桿を押し続ける
機長に、冷静な判断を求めるのは無理な相談。でしょうが
そもそも、これほどまでに人間が操縦桿を押し続けるのは
正常ではない。何か異常な事態が起きている、という
判断がコンピューターの側で出来なかったのか。人間ならば
ただならぬ状況に、「おかしい」と警戒、疑問をもち
解析する、と云うプログラムにない行動をとることが出来ます。
ソフトウェアといっても所詮人間があらかじめ予想して
書き込んだプログラムの羅列です。なんか変だな
とか、普通じゃないな、といった人間の直感のような
その場の判断はあらかじめ書き込まれでもしない限り
実行されることはありません。
こうしたシステムの不備を不作為だとして訴えられても
弁解することは出来ません。ソフトウェアを
こっそり書き換えて、機械の側には問題は無い
と言い張るのは簡単です。悪いのは特定のパイロットで
他の人には関係ない、で済まされては
犠牲になったパイロットいたちも浮かばれないことでしょう
今回のフロリダの事故原因が究明され、何が事故原因か
はっきり明示されるのはまだしばらく先のようです。
人間と機械のどちらに過失があったと発表されるか
おおよその見当はつきそうなものですが、
現状では危なっかしくって大統領をはじめ、政府の要人輸送には
適していないと、許可認証をもらえなかったオスプレイ
現職大統領を乗せて、日本のどこかに降り立つ日は
果たしてくるのでしょうか?