2011年04月26日
運命の分かれ道!?
福島第1原発の事故について、細野総理大臣補佐官は
きのう、事故発生当初に政府と東電との間の意思疎通
に問題があったことを認めました。
初期の事故対応について検証する意向も表明しています。
大震災発生直後の福島原発について、一部航空関係者
の間では、電源が全て喪失して原子炉や燃料プールの
冷却機能が失われた直後に、国内にある余剰のガスタービン
エンジンをボーイング・バートルCH-47チヌークで現地に
緊急搬送し、電源を緊急確保して冷却水を供給していたら
重大事態は避けられたのではないかとの意見があります。
原子炉関係者が全電源消失をどの程度想定していたかは
不明ですが、少なくとも冷却水が供給できなくなった場合の
深刻さを認識していれば初期行動として何をなすべきかは
明確だったのではないでしょうか。
事故発生当初、アメリカ側は発電用のガスタービンエンジンを
数台日本に提供する意思を示していました。
この提案がどうなったのかは明らかではありませんが(私が
知らないだけかも知れません)緊急事態発生を受けて配備
された予備電源装置では、容量不足でほとんどの原子炉を
安定した停止状態にすることが出来ないとの報道からも
アメリカ側の提案を受け入れていないのではないかと
思われます。
航空機に使用されているジェットエンジンは、当然のことながら
他の用途にも使用可能です。
一般的には船舶をはじめ、車両やオートバイにも利用されており、
もちろん、発電用のエンジンとしても使用されています。
小型で高出力のガスタービンエンジンは、灯油や経由、LNG
などの燃料が使用でき、高温のガスを排出することから
動力としての機能のほかに、水蒸気でタービンを回転させ
電力を供給することも出来ます。
GEやプラット&ホイットニーなど海外の主要なエンジンメーカー
をはじめ国内のエンジンメーカーもライセンス生産を含めて
この電力用ガスタービンエンジンを生産しています。
こうした優れた能力のガスタービンエンジンを緊急電源用として
配備していなことが不思議でなりません。
今回の事故の教訓から各電力会社はガスタービンエンジンの
配備を年内にも始めるとのことですが、事は緊急を要します。
是非、早急な配備を願いたいものです。
それにしても思い起こされるのは、原子力潜水艦や原子力
空母を数多く運用しているアメリカ海軍です。
1954年に世界初の原子力潜水艦ノーチラス号を就役させて
以来、数多くの原子力艦船を運用していますが、これまでに
原子炉を破損するなどの重大なダメージを与えるような事故は
一度も起こしていません。
(操作をあやまって臨界に達するなどの事故は3件ほど記録
されています)
完璧な運用システムに基づいて行われなければならないはずの
原子力発電のどこにぬかりがあったのか、今後の検証に
注目したいと思います。