2011年01月24日
お隣さんちのステルス機(その2)
先日、開発中の映像が明らかになった中国の
ステルス戦闘機「セン20」ですが、その後、
テスト飛行中の映像もインターネットやテレビで
紹介され、飛行する段階にあることが判明しました。
しかし、映像は離陸中のものと着陸進入中のものしか
なく(私が実際に確認した映像で、他にも飛行中のものが
あるかも知れません)、これではどの程度の性能なのか
判断のしようがありません。
これまでの情報を総合すると、全長は23メートルほど、
エンジンはロシア製のものを2基搭載しており、胴体前部に
小さな翼カナード翼を備え、2枚ある垂直尾翼の下には
それぞれ小さなフィンが付けられていることが分かっています。
前回、胴体の長さに比べて垂直尾翼が小さいのではと書きましたが、
このフィンは小さな垂直尾翼の働きを補完する役割を果たして
いると思われます。
平面形は依然として明らかではありませんが、側面のデザイン
からのイメージでは、F-22ラプターとの試作競争に敗れた
ノースロップYF-23に近いデザインのようにも見えます。
(カナード翼を除けばですが・・・・・)
ところで、今朝の一部の新聞に「セン20」には墜落して
流出したF-117ステルス攻撃機の機密技術が使われている
のではないかとの記事が掲載されました。
ロッキードF-117は、ロッキード社の先端航空機開発チームの
スカンクワークスが開発したステルス機で、開発が始まったのは
今から40年も前のことです。
1981年に初飛行に成功したF-117は、64機が生産され
実戦配備に就きましたが、1999年3月27日にセルビアの首都
ベオグラード近くの上空で地上からの攻撃で撃墜されたと
言われています。
(当初はMiG-29に撃墜されたと発表されましたが、撃墜の
真相は明らかになっていません)
その後、機体の残骸は付近に住む農夫によって回収され、
ロシアに運ばれたと伝えられていますが、今朝の新聞の記事に
よると、中国の外交関係者が農民から残骸を買い上げたという
クロアチア軍高官の話が紹介されています。
いずれにしても、残骸からは一部の機体構造やレーダーに
捉えられにくい機体表面の処理方法などは解明できても、
機体を制御するための高度なアビオニクスや火器管制装置
などはそう簡単に技術を習得できるものではなく、中国が
数年後に機体の開発に成功してもF-22ラプターに匹敵する
ような高性能な戦闘機にするにはF-117の技術では無理が
あるように思われます。
アメリカ高官の中国訪問を前に、中国もステルス機の開発を
行っていることを示すことによって、外交交渉を有利に運ばせ
ようとした極めて政治的な意図の強い動きと捉えたほうが
理解しやすいのですが、いかがでしょうか・・・・・・
今後は、パワーが弱いとされているロシア製のエンジンに
代わって、高性能な自国製のエンジンをどこまで開発できるか、
(F-22ラプターは超音速での巡航が可能です)
それに高度な制空戦闘能力や総合的な運用システム能力を
どこまで備えることが出来るのかが焦点となりそうです。