2010年07月26日
バタバタ音の発生源は・・・・・
きのう、山岳救助を行っていた埼玉県の防災ヘリが
沢に墜落し、5人が亡くなるという事故がありました。
助かった2人の隊員の証言によると、ヘリからロープ
を使って地上に降りようとしていたところ、地上1メートル
付近で急に落下し、「バタバタ!」という聴いたことも
ないような異常な音がしたため、上空を見上げると
へりが斜めに落下するのを目撃したということです。
運輸安全委員会は現地に3人の調査官を派遣して
本格的な事故調査にあたっていますが、現場は
急峻な沢となっており難航が予想されます。
ヘリコプターは、回転翼機と呼ばれるカテゴリーの
航空機で、通常の飛行機が固定翼と呼ばれる
主翼を付けて高速で前方へ進むことによって揚力を
得ているのに対し、ヘリコプターは飛行機の主翼に
当るメインローターを回転させることで揚力を得て
います。
従って、飛行機は常に前方に高速で進んでいなければ
揚力を得ることが出来ず、止れば墜落してしまうのに
比べ、ヘリコプターは回転翼を利用して飛行するため
回転翼の動きによって空中に停止することも、前後
左右に移動することも出来るわけです。
メインローターをプロペラと表現する人もいますが、
それは間違いで、正確には回転する翼というのが
正解です。
と、まあここまでの基本はおさえておいて、バタバタという
異音がどこから発生したのかということですが、以前にも
ブログでお話したと思いますが、ヘリコプターの音の
殆どはメインローターから発生する風切音です。
勿論、タービンジェットエンジンの音も聴こえますが、
風切音にかき消されて聞き取りにくいといった状態です。
となると、助かった隊員のバタバタといった異音がした
との証言は、メインローターから発生したと言って
いいと思います。
墜落したユーロコプターAS365は、4枚羽根のメイン
ローターですから、通常はブルルルルル~という
高回転の音が聴こえますが、これがバタバタとなると
ローターに異常が発生した判断するのが妥当です。
その原因は果たして何なのか・・・・・・・
山岳地帯特有の気流の影響なのか、ローターが
木々に接触したのか、あるいはローターやローター
ヘッドの破損なのか・・・・・・・
機体の残骸の中に4枚のメインローターがどのような
状態になっているのか、一部のローターが機体の
残骸からかなり離れた場所に落下しているのかどうか・・・・
これらのことが事故調査のポイントになりそうです。