2010年04月11日
政府専用機が墜落
ポーランドのカチンスキ大統領夫妻ら
ロシア訪問団88人を乗せた政府専用機
ツポレフTu154が、10日、ロシア西部の
スモレンスク空港付近に墜落し、乗客乗員
合わせて96人全員が死亡しました。
大統領を含む政府高官の多くが一瞬にして
犠牲となった航空機事故は、過去にほとんど
例がありませ。
政府専用機といえば、最新のテクノロジーを
搭載した最新鋭のジェット旅客機というのが
常識で、40年以上も前に初飛行したツポレフ
Tu154を使用するケースは珍しいと言えます。
古い機種とは言え、西側の騒音基準もクリア
しており、地上バックアップシステムもほとんど
必要とせず運航できるとあって、現在でも
ヨーロッパ各国では結構使われています。
機体サイズは同じ3発機のボーイング727と
ほぼ同じクラスで、900機以上が生産されました。
(B727は約倍の1800機以上が生産されています)
事故当時、空港周辺は霧が発生して視界が悪く、
管制官はモスクワかミンスクに着陸地を変更するよう
求めたようですが、パイロットは聞き入れなかった
ようです。
スモレンスクは第二次大戦中の独ソ戦の激戦地と
して知られている他、地形的にも複雑に入り組んだ
峡谷と湿地帯があり、濃霧の発生しやすい地域
だったようです。
空港の設備はこうした悪天候に対して果たして充分
なカテゴリーでの運航が可能だったのかどうか、
(空軍用の飛行場との情報もあります)
あるいは政府専用機に充分な計器誘導着陸の
機能が備わっていたのかどうか、今後の事故調の
原因究明を待たねばなりませんが、いずれにしても
パイロットに一国の大統領が搭乗した政府専用機を
操縦しているという慎重さが欠けていたことだけは
確かなようです。
亡くなったカチンスキ大統領は、第二次大戦中に
ポーランド軍将校ら2万人以上が旧ソ連に虐殺された
「カチンの森」事件から70年となる式典に出席するため
ロシアを訪問する予定でした。
第二次大戦中、連合国側についてバトル・オブ・
ブリテンで大活躍したポーランド人パイロットのことを
思うと、なんともやりきれない事故です。