2009年05月26日
私のラジオデイズ75
放送局の開局は意外と厳粛なものなのです。
製鉄所が完成すると、新しい溶鉱炉に火を入れる
「火入れ式」が行われますが、実は放送局でも
この「火入れ式」が行われるのです。
勿論、「火入れ式」と言っても、溶鉱炉のように
本物の火を入れるわけではありません。
灯、つまり、電源を入れるのです。
と言うことで、放送局の場合は「灯入れ式」と
言うことになります。
では、この「灯入れ式」、いったいどのような
ものなのでしょうか?
開局当日の朝、スタジオには会社の社長を始め
経営陣がずらりと顔を揃えます。
張りつめた空気の中、神主さんが現われると
厳かにお払いの行事が行われます。
そう!最新の流行、文化をお届けする放送局にも
このような伝統行事を重んじるお約束事が
あるのです。
開局に際して、放送事故のないことをお祈りし、
放送が多くのリスナーに受け入れられるように、
社が大いなる発展を遂げるように、様々な願いを
込めて関係者一同がお祈りをします。
そして、いよいよ「灯入れ式」の瞬間です。
社長が緊張した面持ちで調整卓(ミキサー)の前へ
進み出て、電源スイッチに親指を乗せゆっくりと
ボタンを押すと、調整卓のスイッチ類が一斉に
点灯します。(その美しく感動的なこと・・・・・!!)
万歳こそありませんが、出席者からは点灯の瞬間に
大きな拍手が湧き起こります。
(ちなみに広島FM放送の点灯を行ったのは、
当時の松田耕平社長でした。広島カープのオーナー
でもありましたが、すでに亡くなられています。
ご存命中は大変お世話になりました)
そして、本放送のスタートとなるのです。
この瞬間が何とも言えません。
これまでの多くの苦労が一瞬にして吹き飛んでしまう、
そんな感動を味わうことが出来ます。
こんな瞬間に2度も立ち会えたことに感謝、感謝です。