2009年02月10日
再び、ハドソン川の奇跡
「これまでの人生は、この3分30秒を
乗り切るための準備段階だったと思う」
ハドソン川の奇跡で一躍ヒーローになった
USエアウェイズのサレンバーガー機長の
言葉です。
サレンバーガー機長が、ようやくメディアの
単独インタビューに答えました。
機長の冷静沈着な対応を知れば知るほど、
機長がいかに自ら操縦する旅客機に対して
信頼を抱いていたかがうかがい知れます。
エンジンの停止した旅客機を無事に地上に
降ろすこと、その瞬間、機長は機体や
コックピット・客室クルーを信頼する以外に
方法がないことを悟ったと思います。
機体を製造したエアバス社への信頼、
機体を維持管理する航空会社への信頼、
機体を整備する技術者たちへの信頼、
そして、コックピット・客室クルーへの信頼、
そうした信頼に裏打ちされてあの冷静さが
保たれたのだと思います。
その昔、ロッキード・トライスターのシミュレーターを
体験取材したことがあります。
コ・パイ席に座った教官から指導を受け、
離陸から着陸までの操縦操作を体験しました。
その際、エンジン火災の対処方法を経験したのですが、
コックピットに響きわたる警報音に、シミュレーター
とは言えただならぬ雰囲気を感じました。
実際のフライトでは・・・・と思うと背筋が凍ります。
今回の事故で旅客機はエンジンが全て停止しても、
冷静に対応し条件さえ整えば、地上に戻すことが
可能なことが分かりました。
(少なくとも、エンジン停止、即墜落というイメージは
払拭されたと思います)
もちろん、理論上は可能なことは分かっていますが、
いつもこううまくいくとは限りません。
サレンバーガー機長のそれこそ貴重な証言が、
今後の安全運航に役立つことを多くの人たちが
望んでいると思います。
「ハドソン川の奇跡」を映画化しようとの動きが
あるようですが、そうなった場合でも機長を英雄扱い
した単なる商業主義に走るのではなく、空の安全を
確立する意味からも心理描写を含めた事故の克明な
再現を望みたいものです。
一件落着のはずの「ハドソン川の奇跡」が
蘇ってしまいました。