2009年01月20日
ハドソン川の奇跡・・・・・その3
くどいようですが「ハドソン川の奇跡」の
続きです。
前回までのブログで、機体のエンジンは
ハドソン川に水没したのではないかと
書きましたが、昨日の朝刊各紙の
写真を見ると右エンジンは翼に付いたまま
となっていました。
16日の共同電でも、アメリカの運輸安全委員会の
話として、事故機のエンジンが2基とも脱落して
行方が分からなくなっていることを伝えています。
2基のエンジンが無くなっている事をどのような
状況から判断したのか分かりませんが、
機体の引き揚げによって右側のエンジンは
翼に付いたままになっているのが確認できます。
(左側は写真が無く確認できません)
この事は何を意味するか、という事を
考えてみましょう。
先ず考えられるのは、機体が着水した時の衝撃は
エンジンを脱落させるほどの大きな衝撃では
なかったということです。
旅客機のエンジンは通常、パイロンによって翼から
吊り下げられています。
(このパイロンは翼とエンジンとを結合させる非常に
重要な部分で、例えばボーイング系の旅客機では
その全てがアメリカ・スピリット・エアロシステムズ社
のものが使われれいます)
古いジェット旅客機には、デハビランド・コメットのように
主翼の付け根にエンジンを埋め込んであるタイプや、
ボーイング737-100のように主翼の下に直接
取り付けてある機種もありましたが、現在では
パイロン方式が一般的です。
これは主に翼に発生するフラッター(周期の短い震動)
を防止する役割があるためと、大きな衝撃が加わった
場合、パイロンからエンジンが脱落して、翼に
ダメージが及ばないようにしているためです。
今回のような事故のケースでは、機体がハドソン川に
着水した衝撃で当然、エンジンは脱落すると
思われましたが、翼に付いたままとなると機体は
かなりの低速で着水したとしか思えません。
この事は乗客の「あまり衝撃はなかった」という
証言からも裏付けることが出来そうです。
どの程度のスピードで着水したのか、今後の事故調の
調査結果を待つしかありませんが、いずれにしても
コックピットクルーは、失速ぎりぎりの神業に近い
操縦技術で機体をコントロールしていたものと思われます。
軽い機体ならいざ知らず、重たい旅客機を、しかも、
飛行中は停止した2基のエンジンは空気抵抗を
増大させる以外の何者でもありません。
そんな状態で機体をハドソン川の中心に導き、
機速をうまくコントロールして確実に着水させる・・・・・
なぜそう出来たのか、機長の詳細な証言を
多くの航空関係者が待ち望んでいると思います。
機長は日本時間のあす未明に行われるオバマ次期大統領の
就任式に招待されているようですが、果たして
姿を現わすかどうか、こちらも大いに注目されます。