2009年01月18日
ハドソン川の奇跡・・・・・
先日のNY・ハドソン川での
USエアウエイズの不時着水事故は、
緊急時の冷静な判断がいかに大切かを
あらためて思い知らされました。
事故は、NYのラガーディア空港を離陸した直後、
鳥がエンジンを直撃したことによる推力低下で
飛行続行が不能となり、機長の判断で
ハドソン川に緊急着水したものです。
乗客乗員155人は、付近を航行中のフェリーや
水上タクシーの乗員らに全員救助されました。
機長のサレンバーガー氏は、元ファントムライダー
(F-4ファントムのパイロット)で、安全委員会の
委員長も務めたこともあるというベテランです。
今回の事故で思い出すのは、1968年11月22日に
発生した日航機のサンフランシスコ湾着水事故です。
この時も、機長らの冷静な操縦によって機体
(ダグラスDC-8-62)は、サンフランシスコ空港から
およそ5キロ沖合いのサンフランシスコ湾に
不時着水しました。
水深が数メートルと浅かったこともあり、機体は
完全水没を免れ、駆けつけた救助隊によって
乗客乗員107人は全員救助されました。
当時、大型機の不時着水で全員無事という
ケースは世界で初めてでした。
事故原因は、所定の飛行方式から逸脱したことに
よるパイロットミスとの判断で、乗員に対する
称賛はあまり聴かれませんでしたが、緊急事態に
直面して機体を的確に不時着水させた技量は
評価されるべきでしょう。
今回の事故で、旅客機は全てのエンジンが停止しても、
パイロットが適正に機体を操縦し着陸地点の条件さえ
整えばダメージをあまり受けずに不時着できるということが
実証されました。
また、エンジンはある一定以上の衝撃が加わると
翼から脱落し、機体構造の安全性を確保するという
役割も実証されました。
もちろん、着水現場付近にはたまたま橋が無く、
付近を航行する船舶もいなかったという好条件が
あっての結果だったわけですが・・・・・
パイロットはこうした緊急事態に備えて日ごろから
訓練を行っていますが、システム化された操縦訓練で
技量のみが尊重されることのないよう願うばかりです。
その昔、パイロットは風を読むことで機体の状態を
的確に判断していました。
計器に頼ることなく窓の外の景色から的確に機体の
姿勢をコントロール出来てこそ真のパイロットと
いえるのではないでしょうか。
今回の事故の機長はそれが出来たのだと思います。
機長は「ハドソン川の奇跡?当たり前のことを
やっただけさ」と思っているかも知れません。