2009年01月02日
今宵限りの富士はやぶさ(更新)
「特急富士」1レの旅・>富士と名のつく特急に乗れるのは、今年が最後
特急富士/はやぶさは午後六時すぎ、東京駅を発車します。
列車番号一番、東海道を走る老舗の看板特急列車です。この3月には廃止されることが決まりました。
去年、その一番列車「1レ」乗ってきました。
特急富士は横浜駅を出発(18:28)。
東海道・湘南路を機関車が引っ張る客車列車もこれが最後となります。
横浜駅から九州方面の駅まで乗り換え無しで行ける唯一の列車でもありました。
かつての列車番号は7番。僚友のさくら,みずほ,あさかぜといったブルートレイン群が
この横浜駅のホームに続々滑り込んでくる時代もありました。が、いまや夜行バスに
おされて、寝台料金を払ってこの列車に乗る人はごく僅か。
車両も30年近く使い回しです。
熱海到着は19:33。
二段式のB寝台はオイルショックの少し前に新製された最新型でした。
二十四時間近く走る仲間もいたので、昼間は電動モーターで上段を片付けます.今では固定され、終着駅までこのまま。外装の傷みもかなり目立ちますが、・・・・・シーツ、寝巻きと言ったリネン関係に費やす日々の労力・費用も大変なもの。でも横になり、布団をかぶって移動できる贅沢さは寝台ならでは!飛行機にも欲しいくらいのサービスです。
(20:35)には静岡駅を出発。
食堂車も(朝まで)車販もない今、弁当を買いおかないと空腹で眠れません。
90年代までは食堂車の営業廃止後も、車両だけは編成に繫がれ、お弁当片手に食堂車気分を味わうことも出来ました。が、やがて新幹線と前後して食堂車も消え、いまや北海道発着の特別な特急に残るのみとなりました。写真は横浜のお約束、シュウマイ弁当。大船駅なら大船軒 :鯵の押寿しとなりますが、停車はしません。
浜松を21:30に発車。
上段寝台に登るには梯子を引き出して、着替えは浴衣。
B寝台には更衣室も無く、カーテンを閉めたら人に見られず、着替えるのは至難の業。
上段には小さな荷物スペースがありますが、下段には占有できるスペースがありません。
お弁当を乗せる小さなテーブルは下段の特権。三段寝台の時代は下段が寝台幅も広く料金的にも上位でした。
高度成長期を支えたビジネスマンたちには当たり前でも、今どきの女性には個室寝台が人気のようで、おじさん仕様と呼ばれてもやむを得ません。
22:44には名古屋発
横浜から名古屋まではほぼ四時間
京都までなら6時間、運転停車も少なく
表定速度も意外に高いうえ、ここまで殆ど
ロングレール区間で路盤状態も良好で快適な旅が続けられます。
小田原からなら4時間弱。急行「東海」で
一日かけて名古屋を往復した昔を思い出します。
0:36京都に着きました。
すでに案内放送も無く廊下の光も落とされて
完全に夜汽車の風情、駅を見渡すと
終電車も終ったのか人影はまばらです。
車内でプライバシーを守るものはカーテン一枚
起き上がると、目一杯のスペースですが昔は寝台車の中では
これでも広い部類でした。今では個室の普及で
格差が目立ちます。
トイレは勿論個室ですが和式で、洗面台はお隣と一緒
梯子で登る上段寝台といい、カーテン1枚のプライバシーといい
ビジネス利用の男性は良いとして、女性の個人客には辛い設定かも・・・
乗車賃並みの料金で週末の深夜バスが結構女性客で溢れているのは
料金に見合ったサービスと認めてもらえないからなのでしょうlか?
全盛期には家族連れや小グループの利用客を良く見かけた
ものでした。今では四人分のスペースにポツンとひとり、
ということも
個室には・・・・・
こんな懐かしのグッズまで
東京駅発車から7時間を過ぎ
特急富士、1:06大阪を発ったら広島着まではノンストップ、
深夜の山陽路を駆け抜けています。
特急券と寝台料金併せて9000円オーバー。
広島までなら新幹線特急券=7000円の方がおトクです。
大阪、名古屋までなら完全に新幹線に軍配
広島までなら早朝に到着できるところにメリットを見出せますが、
博多までならとんとん。夕方新幹線に乗っていれば、昨日の内に博多入りです。
この時間に広島にいる為には新幹線利用の場合、前日入り+宿泊が必要です。
東京始発の新幹線よりも4時間有効利用出来ます
山陽方面のビジネス利用ならまだまだ競争力がある
ということになるでしょうか
最後の力走を続ける特急富士・はやぶさ
朝一番の停車駅広島5;21を後にして富士・はやぶさの旅は続きます。この後主なターミナル駅に停車して、九州に上陸し、前後に分割され熊本、大分へとむかいます。
終着後もほんの数時間の休息中に、リネンサービスや清掃、点検をすませて上り列車として東京に帰って来ます。
あさかぜ、さくら、みずほと櫛の歯が抜けるように無くなっていったブルートレイン
ついに全廃の日がきてしまいました。
全盛期の昭和四十年代はまだ新幹線博多開業の前
かくもここまで衰退したわけは,言わずもがな高速バスの
台頭で,それも高速道路網の整備が大前提。
さらに新幹線のスピードアップでまずあさかぜの存在価値が
なくなり,長崎・佐世保への足「さくら、みずほ」も程なく奪われ、
安価な東海道の夜行「銀河」も昨年姿を消したばかり。
サンライズこそ電車化で命脈を保ったものの,
残るは北陸,奥羽ルートと北海道夜行、どちらも新幹線
開業までの時間的猶予はあるものの車両の更新はなし。
行く末に暗い未来が待ち構えます。
寝台特急の旅、気分だけでも味わって頂けたでしょうか?バスだと休憩時間まで身動きが取れませんが、列車内は食堂車(北斗星など)やロビーカー(一部)に移動出来たり、と楽しみも一杯。興奮のあまり寝付けなくなるかもしれませんが、眠りに誘ってくれるジョイント音のリズムを一晩中聞いているのも楽しいかもしれません。(岡山の先まではほとんどがロングレールですが・・・)
本日もご乗車誠にありがとうございました。
またの閲覧を心よりお待ちしております
では、皆様今年もよろしくお願い致します。