2008年11月30日
私のラジオデイズ56
前回のブログで、演奏中のレコードのピックアップを
上げてしまい、レコードをジャケットに仕舞い込んだ
ディレクターのお話をしましたが・・・・・・
実は、この不可解な行動は誰にでも起こり得るのです。
前にもお話したことがありますが、
レコードが全盛だった当時、
スタジオのレコードプレーヤーは、
同じタイプのものが2台並べて設置してありました。
レコードを演奏中に次の曲をセットしておく
必要があるからです。
ところが、ここに錯覚が生じます。
つまり、次のレコードをセットし終えると、
そこで一つの仕事が完結し、隣で回転している
放送中のレコードを無意識に止めてしまおうとする
衝撃行動が起きることがあるのです。
ワンマンDJの時は、自分でお喋りをしながら
レコードも自分でセットするので、忙しさもあり
このような衝動に駆られることはまずありません。
ところがディレクター、アナウンサー、ミキサーと
業務が分担されると、それぞれの仕事量は
軽減されるので、精神的に余裕が出てきて、
余計なことまで考えてしまうというのが、
原因の一つとして考えられます。
勿論、これはワンマンシステムから分担制に
切り替わった当時の話で、今の放送には
当てはまらないかも知れません。
放送現場では、こうしたヒューマンファクターによる
事故の危険性は常に存在します。
勘違いや思い違いによる放送事故をいかに軽減
させるか、人間ですからミスもあるかも知れませんが、
やはり心の隙を作らず自分に厳しくすることが
最善の方法のようです。
きのう放送されたNHKの番組で王監督も言っていました。
「プロはミスをしてはいけない」と・・・・厳しい!!
放送現場では事故を未然に防ぐための
「自己との戦い」が、日夜繰り広げられているのです。