2008年09月15日
私のラジオデイズ46
今回も「ジェット・ストリーム」の続編です。
「ジェット・ストリーム」は、前にもお話したように
録音番組ですので、スタジオ収録を行っていました。
当時、録音番組は全て1秒間に38センチの
テープスピードで収録していました。
38(サンパチ)のスピードと申し上げても
今の若い方々にはお分かりにならないかも
知れません。
7~8年前までは、放送番組は録音番組の場合、
全て6ミリ幅のオープンテープに収録していました。
オープンテープというのは、カセットテープのように
テープとケースが一体となったものと違い、
5号、7号、10号の大きさのリールにテープが
巻き付けられているタイプのもので、初期の
録音テープは皆、このようなタイプでした。
10号リールが一番大きく、直径が30センチ程
あります。
これを38のスピードで回すと、1本に30分の番組が
収録できます。
「ジェット・ストリーム」は放送が始まった当時は
1時間番組だったので、10号のテープが
2本必要となります。
(現在は営業対策もあり、1時間番組は殆どが
55分番組となっています)
当時はFM放送の命とも言うべき、音質重視の
大原則がありましたので、録音番組は全て
音質の良い38で収録していました。
(後にテープスピードはこの半分の19センチに
なりました)
さて、初めて「ジェット・ストリーム」を送出する
ことになる泊まり勤務の当日、午前0時の時報とともに
「ジェット・ストリーム」のテープををスタートさせました。
担当ディレクターから、「絶対ミスのないように!」と
きついお達しがありましたから、アッテネーターの
操作にも力が入ります。
時報後、5秒たってから番組をスタートさせる決まり
でしたから、時計の秒針とにらめっこをしながらの
スタートとなりました。
(5秒より早くスタートさせると時報音と番組がかぶって
しまいます)
順調に番組がスタートしても、まだ安心は出来ません。
30分のテープの切り替えがあります。
今度はキューシートとにらめっこをしながら、
キューシートに記入してある時刻に合わせて
2本目のテープをスタートさせました。
音楽とナレーションとの間がちょっと短かったような
気がしましたが、キューシート通りの時間だったので
特に気にせずに無事放送を終了しました。
ところが翌日のこと、(正確にはすでにこの時点で
翌日ですが、泊まり明けの勤務を終了して)
担当ディレクターから、クレームが付きました。
「間が短いよ、番組の流れを考慮して2本目を
出さないと・・・・!」
「でも、キューシート通りに・・・・・」と言おうとして、
グッとこらえました。
口ごたえしたらカミナリが落ちそうだったのと、
確かに番組のイメージを考慮すれば、ディレクターの
クレームは当然だと思ったからです。
「ジェット・ストリーム」の魅力は、なんと言っても
その構成力と魅力的な音楽、その合間にちりばめられた
絶妙なナレーションですが、その舞台裏では
微妙な間の世界で悪戦苦闘するミキサーや番組送出者など、
多くの裏方たちの努力の積み重ねがあるのです。